2001年に間0が国際生活機能分類を採択してから、人を取り巻く環境がその活動や参加に関連する因子として重要であることが提唱されてきた。日本においても、高齢者の外出状況などの活動状況と環境因子の関連についての研究が増加傾向にあるが、社会的つながりを形成させる、高齢者の参加の状況に関連する環境について検討した研究は少ない。そこで、本研究は、高齢者の買い物活動を社会参加として着目し、買い物活動と環境因子、特に地域の環境及び、交通の環境とが関連するのかについて検討した。 埼玉県に在住する60歳以上で研究への参加に同意した50名を分析対象者とした。買い物活動として、1)買い物の頻度、2)買い物場所までの移動に手伝いが必要であるか(買い物移動の自立状況)に着目し、評価した。環境因子として地域の環境及び、交通の環境に着目し、居住環境評価尺度Home And Community Environment(HACE)日本語版を用いて評価した。また、基本属性として性別、年齢、身体能力として10m最大歩行時間を評価した。 分析の結果、対象者の平均年齢は69歳で、女性13名、男性37名であった。買い物の頻度と環境因子、性別、年齢、10m最大歩行時間との間で統計的に有意な相関関係はみられなかった。一方、買い物移動が自立していた集団は、買い物移動が自立していない集団と比べて、有意に地域の環境にバリアが少なく、交通の環境が整備されている得点を示した。 本研究の結果、高齢者の歩行能力にも着目したが、地域の地域が整備されている、あるいは、交通の環境が整備されている場合に、買い物活動が自立している傾向にあることが示唆された。このことから、高齢者の社会参加を促す環境として、地域に行きやすい公園、安全な公園、休めるようなベンチを整備する、あるいは、バス、電車、自家用車による移動を支援する環境を整備する必要があることが考えられた。
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