本研究の目的は、緩和ケアを実施する医療機関における鍼灸治療の実践実態、および鍼灸師の他職種との患者情報共有の実態を調査することである。質問紙調査および聞き取り調査を行った結果、鍼灸治療は、疼痛をはじめとした症状緩和の一手段として、また患者や家族の要望に答える医療手段の選択肢としての役割があることが明らかとなった。他職種との医療情報共有については、カルテ上での情報共有が中心であったが、カンファレンスや関連職種との直接的な情報共有も必ず行われていた。特に関連職種との直接的な情報共有は、職種間のより強い役割認識を生み出し、治療実態の認知が低い鍼灸師にとって、より重要であることが示唆された。
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