(目的)研修医の疲労感および抑うつ感を脳科学的方法によって科学的に検証し、医療者の健全なメンタルヘルス促進を樹立する事を目的とした。 (方法)小児科の初期臨床研修医36人を対象とした。年齢は平均27歳5か月(男20人、女16人)。唾液コルチゾールは起床時、起床後30分、起床後60分、9時、13時、17時までの6ポイントを採取した。このサンプルは平日の宿直しない日、宿直する日、宿直翌日の日勤勤務日に採取をした。また同時に、気分感情尺度(短縮POMS)、睡眠、精神健康調査の健康(GHQ28)、健康関連QOL(SF-36)、職業性ストレス調査票(努力―報酬不均衡モデル調査票)に関する質問紙を用いた。 (結果)宿直しない日、宿直する日に比べて、宿直翌日の日勤勤務日はストレス関連物質の日中コルチゾール増加が見られた。宿直翌日の日勤勤務日は早朝のコルチゾールが高いほど、緊張-不安、怒り-敵意、疲労の気分や感情が高かった。また、宿直する日勤勤務日は早朝コルチゾールが高いほど、仕事や普段の活動をした時に身体的や心理的な問題があった。宿直しない日と宿直する日に比べて宿直翌日の前日就寝時間は遅かった。それに、宿直しない日、宿直する日に比べて宿直翌日は睡眠時間が短かった。 (考察)宿直業務はストレスや気分、感情、健康状態、睡眠に大きな影響を与えていた。医療者の健全なメンタルヘルス促進を樹立するために本研究が、研修医また医師の仕事の労働環境の理解に寄与する事が期待される。
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