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2013 年度 実績報告書

抗癌剤誘発有害反応発症におけるプロスタグランジンE2の役割解析と新規治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 23790598
研究機関大阪大学

研究代表者

山本 浩一  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40362694)

キーワード悪心・嘔吐 / プロスタグランジンE2 / サブスタンスP / ロイコトリエン / アラキドン酸カスケード / 抗癌剤 / 有害反応
研究概要

癌化学療法を受ける患者の多くは治療効果の増加のために化学療法開始前後に手術を組み合わせることが多い。しかし、外科手術後に患者が抱える問題に化学療法による副作用と同様の悪心・嘔吐(PONV)があるが、PONV の発症機序は不明なために保険承認されている制吐剤がない。このため、周術期満足度の低下に繋がるだけでなく、入院日数・看護必要度の増加に伴う国民医療費の負担増のリスクファクターにもなりうる。ところで、デキサメタゾンなどのステロイド性抗炎症剤はPONV に対して一定の抑制作用を有しているとの報告もあることから、PONVの発症機構は化学療法による悪心・嘔吐と同様に炎症反応カスケードの活性化によるプロスタグランジン(PG)E2・サブスタンスP(SP)の産生増加が重要な役割を持つと考えた。
吸入麻酔薬や静脈麻酔薬によって現れたラットの悪心・嘔吐は癌化学療法による悪心・嘔吐の治療薬としても用いられるセロトニン5-HT3 受容体、ニューロキニンNK1 受容体、ドーパミン受容体遮断薬で抑制できたが、その効果は限定的であった。一方、デキサメタゾンを投与すると完全抑制できたことから、PONV 発症原因において炎症反応カスケードに重要な役割があることを見いだした。デキサメタゾンはホスホリパーゼA2を抑制することでPGE2に加えて、ロイコトリエン産生も抑制する。そこでPGE2産生阻害作用のあるフルルビプロフェンとロイコトリエン産生阻害作用のあるジロートンを前処置すると、いずれもPONV抑制効果が見られたが、ジロートンでより効果が認められた。この結果を受けてロイコトリエン受容体遮断薬を麻酔薬投薬前に処置しておくとPONVは見られなかった。今回得られた知見から、悪心・嘔吐の発症には、これまで申請者が研究を進めてきたPGE2-SP以外にロイコトリエンの経路も関わることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Involvement of substance P in the development of cisplatin-induced acute and delayed pica in rats2014

    • 著者名/発表者名
      Kouichi Yamamoto, Keiko Asano, Ayana Tasaka, Yuko Ogura, Seikou Kim, Yui Ito, Atsushi Yamatodani
    • 雑誌名

      British Journal of Pharmacology

      巻: - ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [学会発表] Animal model for postoperative nausea and vomiting using pica behavior in rats2014

    • 著者名/発表者名
      Kouichi Yamamoto, Toru Sugimoto, Takuya Sakagami
    • 学会等名
      日本薬理学会年会
    • 発表場所
      仙台市
    • 年月日
      20140319-20140321
  • [学会発表] In vivo monitoring of cisplatin-induced substance P release in the medulla of rats measured by brain microdialysis.2013

    • 著者名/発表者名
      Kouichi Yamamoto, Ayana Tasaka, Seikou Kim, Yui Ito, Atsushi Yamatodani
    • 学会等名
      Multinational Association of Supportive Care in Cancer
    • 発表場所
      ドイツ ベルリン
    • 年月日
      20130627-20130629

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公開日: 2015-05-28  

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