研究課題
本研究は、薬剤性肝傷害の中でも発生率が極めて高く、救命・救急医療の現場で問題視されているアセトアミノフェン(APAP)誘発肝傷害の病態機序解明および新規治療法開発を企図し、肝傷害形成における小胞体ストレス関連転写因子C/EBP homologous protein CHOP/GADD153(CHOP)の役割を検証するものである。これまでに、小胞体ストレスを検出できるERAI マウスおよびCHOP欠損マウスを用い小胞体ストレス-CHOP経路がAPAP肝傷害発症に重要な役割を果たしていることが示されていた。また、APAP誘発肝障害におよぼす小胞体ストレス-CHOP経路制御化合物投与の影響を精査し、被検薬物の中でも4-PBAが顕著な肝障害抑制効果を有すること、他の疾患における小胞体ストレス-CHOP経路の役割を調べる目的で、ブレオマイシン誘発肺線維症モデルにおいて検討を行ったところ、CHOP欠損マウスでは野生型に比し顕著に線維化が軽減されることを見出した。これらの知見に基づき本年度は以下の知見を得た。4-PBAはAPAP誘発肝障害に対し、予防的効果だけでなく治療的効果を有する可能性が示唆された。小胞体ストレス抑制薬として報告されているが、APAP誘発肝障害抑制効果においては小胞体ストレス抑制作用の寄与は少ないことを示唆する知見が得られた。ブレオマイシン誘発肺線維症モデルにおいて小胞体ストレス-CHOP経路制御化合物投与の影響を調べたところ、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)が肺線維症軽減効果を有することが示唆された。また治療薬候補探索ならびに病態機序解明を効率化させるために有用であるin vitro APAP誘発肝障害モデルとしてヒト肝細胞株の3次元培養を応用したモデルを確立し、薬理学的有用性評価を行った。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
Journal of Pharmacological Sciences
巻: 124 ページ: 218-229
10.1254/jphs.13135FP
Molecular Genetics and Metabolism Reports
巻: 1 ページ: 31-41
10.1016/j.ymgmr.2013.12.003
Chemical and Pharmaceutical Bulletin
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
ISRN Pharmacology
巻: 2013 ページ: 375825
10.1155/2013/375825
月刊薬事
巻: 55 ページ: 674-677
http://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/Labs/dcci/