研究課題
本研究課題はアドレナリンβ受容体遮断薬であるナドロールをインビボ活性指標薬として薬物トランスポーターを介した薬物相互作用の評価法を確立することが目的である。そのため、これまでにナドロールと様々な薬物トランスポーター阻害薬または誘導薬との薬物動態学的および薬力学的相互作用を基礎および臨床試験により検討してきた。前年度において、我々はヒトにおいて緑茶を2週間毎日飲用しかつナドロールと同時に服用した場合、ナドロールの血中濃度は対照群(水飲用)と比較して著しく低下するという知見を見出した。最終年度はそのメカニズムについて検討を加えるため、小腸上皮細胞においてナドロールの細胞内輸送を担うことが想定される薬物トランスポーターとして有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)1A2および2B1を発現させた細胞系を用いてナドロールの細胞内取り込みを調べた。その結果、ナドロールはOATP1A2によって細胞内に取り込まれること、その一方でOATP2B1では輸送されないことが明らかとなった。さらに、緑茶および主なカテキンの一つであるエピガロカテキンガレートはOATP1A2によるナドロールの細胞内取り込みを濃度依存的かつ臨床において到達しうる濃度範囲で有意に阻害した。これらの知見から、ナドロールはOATP1A2の基質となること、また緑茶を併用した際におけるナドロール血中濃度低下のメカニズムとしてカテキンによるOATP1A2を介したナドロールの細胞内取り込み抑制が示唆された。加えて、本年度はこれまでに得られた研究成果を計4報の原著論文として発表した。
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