研究概要 |
部分腎摘術により1/2腎摘、3/4腎摘、5/6腎摘、17/18腎摘術を行った。1/2腎摘、3/4腎摘ラットではノーマルラットと尿たんぱく、クレアチニンクリアランスに有意差はなかったが、5/6腎摘、17/18腎摘ラットでは腎摘の程度に相関して尿たんぱく、クレアチニンクリアランスの悪化とヘマトクリット値の低下が認められた。一方、血圧は全群間に有意差は認められなかった。また、5/6腎摘、17/18腎摘ラットでは大動脈における内皮機能の低下とスーパーオキサイド産生の増加、VCAM-1やオステオポンチン、マクロファージの浸潤などの炎症反応の亢進が認められたが(Toba H et al., Eur J Pharmacol. 2012; in press)、これらは5/6腎摘群より17/18腎摘群でより強く認められた。また、腎機能の悪化に相関して、内因性NO合成酵素阻害物質であるADMAの血中濃度が上昇していた。 さらに、Erythropoietinの血管保護効果について検討するためによりシビアな腎障害を引き起こすために、5/6腎摘ラットに食塩を負荷し、高血圧合併5/6腎摘ラットを作成した(高血圧CKDラット)。Erythropoietinは高血圧CKDラットの尿たんぱくとクレアチニンクリアランスの悪化を軽減した。また、erythropoietinは大動脈におけるマクロファージ浸潤と肥厚、内皮機能低下を改善した。またerythropoietin投与群でリン酸化Akt発現増大が確認された(Toba H et al., Eur J Pharmacol. 2011; 10;656(1-3):81 )。
|
次年度の研究費の使用計画 |
初年度に光学顕微鏡を購入済みのため、次年度は画像解析ソフトに加え、あとはラットやerythropoietin、L-NAMEなどの投与試薬、腎機能のアッセイに用いるキット、抗体など、すべて消耗品に使用する予定である。また、初年度の成果を発表する国際学会の参加費に一部使用する予定である。直接経費1,100,000円の内訳として、ラット400,000円、試薬300,000円、抗体300,000円、学会参加費50,000円、画像解析ソフト50,000円とする計画である。
|