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2012 年度 実施状況報告書

間質性膀胱炎における痛みの発現メカニズムの解析:サブスタンスPと硫化水素の役割

研究課題

研究課題/領域番号 23790609
研究機関近畿大学

研究代表者

坪田 真帆  近畿大学, 薬学部, 助手 (90510123)

キーワード膀胱痛 / 膀胱炎症 / サブスタンスP / Cav3.2 / 硫化水素
研究概要

本年度はシクロホスファミドおよびSP誘起膀胱炎モデルでの硫化水素合成酵素シスタチオニン-γ-リアーゼ(CSE)タンパク発現量増加におけるメカニズムの解明およびリポポリサッカライド(LPS)誘起膀胱炎モデルの作製と痛み・炎症の評価系の確立を中心に行った。
1) シクロホスファミドおよびSP誘起膀胱炎モデルでのCSEタンパク発現量増加におけるメカニズムの解明:シクロホスファミド誘起膀胱炎モデルマウスにおける膀胱痛、膀胱炎症および膀胱組織中におけるCSEタンパク発現量増加がNK1阻害薬により抑制されたことから本モデルにおける膀胱痛および炎症の発現にSPの関与が示唆された。さらに、NF-kB阻害薬として知られるcurcuminを用いて、シクロホスファミド誘起膀胱炎モデルマウスにおける膀胱痛、膀胱炎症およびCSE発現量増加に対する効果を検討したところ、どちらも強く抑制されたことから本病態における痛みおよび炎症の発現メカニズムにNF-kBが関与する可能性が示唆された。
2) LPS誘起膀胱炎モデルの作製と痛み・炎症の評価系の確立: LPSを膀胱内投与することにより炎症症状の指標である膀胱湿重量増加が認められた。さらに、膀胱周囲皮膚表面および後肢足底におけるvon Freyフィラメント刺激に対する反応の増加すなわち関連痛覚過敏が認められたことから、LPS誘起膀胱炎モデルの作製と痛み・炎症の評価系を確立できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度、シクロホスファミド誘起膀胱炎における膀胱痛、膀胱炎症およびCSEのup-regulationにSP/NK1系およびNF-kBの関与が明らかになったことからCSE/H2S系を介する膀胱痛、膀胱炎症および膀胱炎症の発現メカニズムが明らかになった。さらに、LPS誘起膀胱炎の確立および痛みの評価系が確立できたことから、今後は本モデルにおけるCSE/H2S系の関与を明らかにしていく。
以上のことから、本年度は当初の計画予定通りに研究を進行できたと思われる。

今後の研究の推進方策

これまで得られた知見に加えさらに詳細な検討を行う。また、LPS誘起膀胱炎モデルの作製を試み、本モデルとSP誘起膀胱炎モデルとの違いを比較検討していきたい。
1) LPS誘起膀胱炎モデルにおける関連痛覚過敏および炎症症状へのH2S-T型Ca2+チャネル系の検討:上記膀胱炎モデルにおいて、H2S合成酵素CSEの阻害薬であるDL-propargylglycine (PPG)が 膀胱湿重量の増加および関連痛覚過敏の発現を抑制するかを明らかにし、さらに、T型Ca2+チャネル阻害薬であるNNC 55-0396およびアンチセンス法によるCav3.2 T型Ca2+チャネルのノックダウンによりLPS誘起関連痛覚過敏が阻止されるかについて検討を行う。
2) シクロホスファミドおよびSP誘起膀胱炎モデルでのCSEタンパク発現量増加におけるメカニズムの解明:前年度、NF-kB阻害薬により、シクロホスファミド誘起膀胱炎モデルマウスにおける膀胱痛、膀胱炎症およびCSE発現量増加が強く抑制されたことから、Western blot法を用いて、シクロホスファミド誘起膀胱炎モデルマウスの膀胱組織中においてikBのリン酸化認められるか否かについて検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費使用計画
薬学教育が6年制へ移行したことより、4年時のCBT、OSCE、5年時の実務実習等のカリキュラムが増え、研究室内の学生の人数が一年の間で大きく変動することとなった。特に、2012年9月から2013年1月の間は研究室内の学生数が少なく、実験を進行できなかったため、本年度の予算を次年度へ繰り越さなければならなかった。もっとも学生数が多く、研究を進めていける時期としては4から6月であると思われ、この時期に繰越金額を使用する予定である。次年度予算については7月以降に使用を開始し、12月までの間に支出を行なっていく計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Involvement of the endogenous hydrogen sulfide/Cav3.2 T-type Ca2+ channel pathway in cystitis-related bladder pain in mice.2012

    • 著者名/発表者名
      Matsunami, M., Miki, T., Nishiura, K., Hayashi, Y., Okawa, Y., Nishikawa, H., Sekiguchi, F., Kubo, L., Ozaki, T., Tsujiuchi, T. and Kawabata, A.
    • 雑誌名

      Br. J. Pharmacol.

      巻: 167 ページ: 917-928

    • DOI

      10.1111/j.1476-5381.2012.02060.x.

    • 査読あり
  • [学会発表] 硫化水素の生理機能と病態への関与:特に内臓痛および内臓炎症における役割.2013

    • 著者名/発表者名
      坪田真帆、川畑篤史
    • 学会等名
      第90回日本生理学会大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京)
    • 年月日
      20130327-20130329
  • [学会発表] 新規T型Ca2+チャネル阻害薬RQ-00311651は各種内臓痛を抑制する.2012

    • 著者名/発表者名
      坪田真帆、川上絵理、尾崎友香、関口富美子、井上 義、奥村貴子、川畑篤史
    • 学会等名
      第122回日本薬理学会近畿部会
    • 発表場所
      千里ライフサイエンスセンター(大阪府)
    • 年月日
      20121116-20121116

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公開日: 2014-07-24  

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