研究課題/領域番号 |
23790609
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
坪田 真帆 近畿大学, 薬学部, 助教 (90510123)
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キーワード | 膀胱痛 / 膀胱炎症 / サブスタンスP / Cav3.2 / 硫化水素 |
研究概要 |
ける痛みおよび炎症の発現メカニズムの解明を行った。 1) シクロホスファミド誘起膀胱炎モデルにおける新規T型カルシウムチャネル阻害薬RQ-00311651(RQ)の効果の検討:既存のT型カルシウムチャネル阻害薬NNC 55-0396は血液脳関門を通過するため、鎮静作用を有することが示唆されている。そこで血液脳関門を通過せず末梢のT型カルシウムチャネル阻害作用を持つことが示唆されている新規T型カルシウムチャネル阻害薬RQの効果を検討した。その結果、シクロホスファミド誘起膀胱炎モデルマウスにおいて認められる膀胱痛がRQにより抑制されることを確認した。 2) シクロホスファミド誘起膀胱炎モデルにおける可逆的硫化水素合成酵素シスタチオニン-γ-リアーゼ(CSE)阻害薬β-cyano-L-alanine(BCA)の効果の検討:シクロホスファミド誘起膀胱炎モデルマウスにおいて認められる膀胱痛および膀胱炎症状がBCAにより抑制されたことから本モデルにおける膀胱痛および炎症の発現に内因性硫化水素の関与が再確認された。 3) SP誘起膀胱炎モデルにおけるTRPA1阻害薬AP18の効果の検討:硫化水素の標的分子のうち、Cav3.2 T型カルシウムチャネル以外に侵害受容に関与することが示唆されているTRPA1がSP誘起膀胱炎モデルマウスにおいて認められる膀胱痛および膀胱炎症状発現に関与するかについて検討を行った。その結果、TRPA1阻害薬であるAP18はSP誘起膀胱炎モデルマウスにおいて認められる膀胱痛および膀胱炎症状に影響しなかったことから、本モデルにおける膀胱痛および炎症の発現にTRPA1は関与しないことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、シクロホスファミド誘起膀胱炎における膀胱痛・膀胱炎症内因性硫化水素が関与することが再確認され、SP誘起膀胱炎モデルにおける痛みおよび炎症症状発現にTRPA1は関与しないことが明らかになった。今後は既に前年度モデル作製方法を確立しているLPS誘起膀胱炎モデルにおいてCSE/H2S/Cav3.2系が痛みおよび炎症症状の発現に関与するかについて明らかにしていく。産前産後休暇、育児休業取得により、実行できなかった研究については次年度に繰り越して行う。
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今後の研究の推進方策 |
産前産後休暇、育児休業取得により実行できなかった研究について再開する。 1) LPS誘起膀胱炎モデルにおける関連痛覚過敏および炎症症状へのH2S-T型Ca2+チャネル系の検討:上記膀胱炎モデルにおいて、H2S合成酵素CSEの阻害薬であるDL-propargylglycine (PPG)が 膀胱湿重量の増加および関連痛覚過敏の発現を抑制するかを明らかにし、さらに、T型Ca2+チャネル阻害薬であるNNC 55-0396およびアンチセンス法によるCav3.2 T型Ca2+チャネルのノックダウンによりLPS誘起関連痛覚過敏が阻止されるかについて検討を行う。 2) シクロホスファミドおよびSP誘起膀胱炎モデルでのCSEタンパク発現量増加におけるメカニズムの解明:前年度、NF-kB阻害薬により、シクロホスファミド誘起膀胱炎モデルマウスにおける膀胱痛、膀胱炎症およびCSE発現量増加が強く抑制されたことから、Western blot法を用いて、シクロホスファミド誘起膀胱炎モデルマウスの膀胱組織中においてikBのリン酸化認められるか否かについて検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
産前産後の休暇および育児休業を取得し、補助事業の延長を申請したため。 産前産後休暇、育児休業取得により使用しなかった研究費は、平成26年度中に使い終える予定である。
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