本年度はシクロホスファミドおよびサブスタンスP(SP)誘起膀胱炎モデルにおける痛みおよび炎症の発現メカニズムの解明を行った。 1)シクロホスファミド誘起膀胱炎モデルの膀胱組織中のリン酸化NF-kB p65の検出:これまでの研究により、NF-kB阻害薬が、シクロホスファミド誘起膀胱炎モデルマウスにおける膀胱痛、膀胱炎症および硫化水素合成酵素シスタチオニン-γ-リアーゼ(CSE)の発現量増加が強く抑制することを明らかにしている。そこで、シクロホスファミド処置により、膀胱組織においてリン酸化NF-kB p65が検出されるか否か検討を行った。その結果、シクロホスファミド誘起膀胱炎モデルマウスの膀胱組織においてNF-kB p65のリン酸化が促進されることが明らかになった。 2)シクロホスファミド誘起膀胱炎モデルにおけるポラプレジンクの効果の検討:Cav3.2 T型Ca2+チャネルは亜鉛により抑制されることが明らかにされている。そこで、シクロホスファミド誘起膀胱炎モデルマウスにおいて認められる膀胱痛および膀胱炎症状が亜鉛含有製剤であるポラプレジンクにより抑制されるか否か検討を行った。その結果、本モデルにおける膀胱痛がポラプレジンクにより抑制された。
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