研究課題/領域番号 |
23790628
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
片岡 雅晴 杏林大学, 医学部, 助教 (20445208)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 肺動脈性肺高血圧症 / BMPR2遺伝子 / MLPA法 / エクソン欠失 |
研究概要 |
ヒト難治性疾患の遺伝子解析では、変異の検出に多くの方法が考案されてきた。しかし、kbp単位の欠失については、その存在と検出法は、従来あまり考慮されておらず、見逃されていた可能性が高い。肺動脈性肺高血圧症ではBMPR2のエキソン欠失が報告されて以来、~10kbpsの部分欠失は優性遺伝し成人期に発症する疾患の原因として近年注目されている。我々は、肺動脈性肺高血圧症および関連疾患を含めて131名分の検体採取を実施し遺伝子解析を施行した。患者内訳は、特発性肺動脈性肺高血圧症患者41名、家族性肺動脈性肺高血圧症患者4名(うち2名は姉妹、残り2名は親子)、膠原病に合併した2次性肺高血圧症が17名、慢性 肺血栓塞栓症が38名、アイゼンメンジャー症候群が2名、肺静脈閉塞症が2名、肺性心が2名、その他のエチオロジーの患者が20名である。その結果、特発性または家族性肺動脈性肺高血圧症患者45名において、BMPR2遺伝子に関して、6名の特発性肺動脈性肺高血圧症患者および2名の家族性肺動脈性肺高血圧症患者の姉妹に6種類のpoint mutation変異と1種類のmissense変異を検出した。また、2名の家族性肺動脈性肺高血圧症患者の親子にエキソン1-3の欠失を、1名の特発性肺動脈性肺高血圧症患者にエキソン10の欠失を認めた。なお、エキソン1-3が欠失している親子については、Alu-Yが切断点であることが判明した。ENG遺伝子に関しては、1名に未だに報告が無いミスセンス変異を認めたものの、エキソン欠失はいずれも認めなかった。ALK-1遺伝子では遺伝子の機能を大きく損なうと予想される変異、また欠失のいずれも検出されなかった。膠原病性肺高血圧症や慢性肺血栓塞栓症等の2次性肺高血圧症の患者にはBMPR2、ENG、ALK-1遺伝子の機能を大きく損なうと予想される変異、また欠失のいずれも検出されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標としていた患者検体数の収集と遺伝子検索を当初の予定通りに実施できているため。
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今後の研究の推進方策 |
患者検体数をさらに増やしていき、データベースの蓄積を図る。BMPR2以外の新規遺伝子変異についても解析を検討する。臨床 データとBMPR2遺伝子変異との関連性を検討し、個別化医療の実現に向けたデータ解析と臨床への還元を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画どおり使用する予定である。
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