研究課題
若年および中年齢健常者を対象として、以下の対照実験を伴った実証研究を行った。円偏光用ディスプレイ上に映像(I)実証研究に用いる視覚刺激用2D映像、および、(II)(I)について通常の2D/3D変換を行った立体映像、を提示した。尚、映像の提示順についてはランダムとし、それぞれの映像を提示する実験は別の日に行うものとした。被験者に映像(I)、または(II)を1時間連続して視聴させ心電図を計測した。視聴開始前および開始後20分おきに右眼の水晶体調節(屈折率)と両眼の輻輳焦点距離を同時に計測した。ここで用いる計測用の映像は、申請者らが短時間(2分間)の立体映像視認が生体に与える影響について調査を行ったときに用いたものを使用した。この計測の後、Visual Analog Scale、重心動揺、 SSQの順に計測を行った。これらの計測で得られたデータに関して数理解析および統計解析を行った。
1: 当初の計画以上に進展している
平成24年度の実証研究において、若年健常者および中年齢者を対象として、立体映像視聴時における右眼の水晶体調節、両眼の輻輳焦点距離、および立位重心動揺を計測した。これらの数理解析・統計解析により、以下について示すことができた。これは、本研究課題で解明すべき目標の一つであり、安全な立体映像視聴に関するガイドラインを提言するための根拠となり得る。これらの実験結果を国際会議ICFB2012にて口頭発表を行い、既に、査読付き学術雑誌へ掲載された。1)「眼疲労」は水晶体と輻輳調節の乖離、特に、それらの非同期性に起因すること。2)「眼疲労」は90秒以上の立体映像視聴により誘発される可能性が高く、「映像酔い」はそれより短い時間の視聴で発生する。後者については、1)の非同期性は原因とならない。
平成24年度に行った実証実験における検査項目ごとに連続視聴時間と映像の種類を因子とする2元配置分散分析を行い、比較・検討を行う。申請者らはこれまで短時間(1~3分間)の立体映像視認が体平衡系に与える影響について調査、検討を行い、動揺図の数理解析によって軽度の「映像酔い」の計量化について知見を得ている。ヘッドマウントディスプレイを用いた実証研究を実施する。ヘッドマウントディスプレイ上に、映像(I)実証研究に用いる視覚刺激用2D映像、および、(II)(I)について通常の2D/3D変換を行った立体映像、を提示する。実験プロトコルは本年度の研究実績の概要にて述べた方法に従って行うものとする。これらの計測で得られたデータに関して数理解析および統計解析を行う。ここでは、検査項目ごとに連続視聴時間と映像の種類を因子とする2元配置分散分析を行い、比較・検討を行う。立体映像視認に伴う「映像酔い」については、映像を注視する際の視線の固定などが起因することも考えられることから、この要因について検討が必要である。そこで、新技術であるPower3D法による立体映像を取り入れ、「映像酔い」の症状の緩和効果測定についても試みる。得られた結果を取りまとめ、成果の発表を国際会議および学術雑誌にて行う。
1) 設備備品費:立体映像視聴に伴う眼疲労や映像酔いが生じる機序を明らかにすることを目標にしており、「映像メディア関連図書」を購入し、最新の情報を得ることは重要である。2) 消耗品費: 「ディスポ―サブル心電図電極」は、本研究に関する実験に必要な物品である。「事務用消耗品類」や「論文別刷代」は研究成果を論文誌に発表する際、不可欠である。3) 旅費: 本研究に関する成果発表の目的で米国(HCII2013)、および国内(IEEE EMBS2013)での研究発表を行う。また、研究協力者との連携を図るために、国内の研究打ち合わせは不可欠である。4) 謝金等: 本研究に協力してもらう実験補助員および被験者に謝金として渡す為に必要である。5) その他: 研究発表を広く発表するための「英文校閲」、「投稿料」は不可欠である。また、3)項と関連して、「国際会議・学会参加費」を要する。研究協力者との連携を図るために「通信費」や「運搬費」が必要である。また、収集した情報を共有するために「複写費」を要する。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件)
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10.4172/2161-0673.1000112
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