研究課題
ディーゼル排気ガスにはナノ粒子が多く含まれる。ナノ粒子は全身への影響が危惧されているが肝臓への影響についての報告は乏しい。これまでに、ナノ粒子を多く含むディーゼル排気ガス(NR-DE)を1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月曝露したところ雄性のF344ラットにおいて、脂質ホメオスタシスに影響を与えることが示唆された。そこで、NR-DEならびにNR-DEから粒子を除去したディーゼル排気ガス曝露後の脂肪酸濃度の変化についてマウスを用いて検討した。6週齢の雄マウスに、2週間、1か月、2か月新鮮空気(対照群)、NR-DE曝露、NR-DEから粒子を除去したディーゼル排気ガス(F-DE)を曝露し、肝臓中の脂質を抽出後、脂肪酸濃度を測定した。NR-DEまたはF-DE曝露により、肝臓中のリノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、EPAの上昇が観察された。F-DE群の方が脂肪酸濃度により影響を与えたことから、ディーゼル排気ガス中に脂質ホメオスタシスを撹乱する物質が存在することが示唆された。NR-DE曝露したラットでは血漿テストステロン濃度の上昇が観察されるが、このような脂質ホメオスタシス撹乱の2次的影響かもしれない。
すべて 2012
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Inhal Toxicol
巻: 24(8) ページ: 459-67
10.3109/08958378.2012.688225