研究課題/領域番号 |
23790670
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
友杉 充宏 京都府立医科大学, 医学部, 研究員 (60533429)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | microRNA / 予防法開発 / 癌 |
研究概要 |
近年、「癌とmicroRNA」研究における著しい進歩によって、microRNAの存在は癌を完全に攻略するために必須であることが明らかになっている。しかしながら、癌予防においてmicroRNAの発現を調節する予防物質を検索する試みはほとんどなされていない。 そのため、生体内において発癌を促進するmicroRNAや、逆に抑制するmicroRNAの双方を食品成分によって調節することができれば、日常における食生活を変容させることによる、新規分子標的予防法の開発につながると考えられる。 そこで、今回、申請者が所属する教室で提唱された、癌の「分子標的予防」の戦略において、microRNAを標的とした新規予防法の開発を最終目的として、食品成分を用いた「microRNA調節予防法」の基礎的研究を行う。そこで、microRNA に大きく依存した癌予防効果をもつ食品成分の探索を試みる。 そこで、平成23年度においては抗腫瘍効果がmicroRNAに大きく依存している食品成分を探索を行った。まずは、2 種類のヒト大腸癌細胞株 (HCT116 野生型, HCT116(ex5/ex5):Dicerノックアウト)を用い、それぞれの細胞に対する癌予防食品成分による癌細胞増殖抑制効果に対する反応性の違いを検討し、microRNAに依存した効果をもつ食品成分をスクリーニングする方法を行った。さらに、microRNAマイクロアレイ法を用い、癌予防食品成分によって変動するmicroRNAを網羅的に解析する方法を検討した。現在、上記の結果から、食品成分による抗腫瘍効果に関係するmicroRNAをリアルタイムPCR法によって個別に発現量を検討している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)交付申請書、研究実施計画において、「抗腫瘍効果が microRNAに大きく依存している食品成分の探索」を掲げ、当該効果に対応するmicroRNAを特定することを目標とした。 現在、癌予防物質の候補は決定している。また、その癌予防物質によって変動した種々のmicroRNAをmicroRNAマイクロアレイ解析によって明らかにした。ところが、当該効果に対応するmicroRNAの特定には至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
microRNAマイクロアレイ解析における網羅的な解析結果から、食品成分によって発現調節されたmicroRNAをリアルタイムPCR解析によって個別に測定し、細胞増殖抑制効果に対して大きな役割を担う可能性のあるmicroRNAを特定する。 次に、当該効果に対するmicroRNAの依存性を検討する。microRNA過剰発現や、microRNA阻害分子を用いた実験系により、microRNAと当該効果との因果関係を証明する。 また、フローサイトメトリーを用いた細胞周期解析やウェスタンブロット解析によってmicroRNAの関与を明らかにしていく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
これらの実験計画はすべて細胞レベルでの試験であるため、主に培養用プラスチック製品や培養用培地、さらに分子生物学的検討に必要な実験試薬・装置などに研究費を使用する予定である。 また、microRNA マイクロアレイ解析結果から、個々のmicroRNAをリアルタイムPCR解析によって測定するためのプローブおよびプライマー、当該効果が予想されたmicroRNAのgain of functionおよびloss of functionを証明するために、化学的に修飾されたmicroRNA過剰発現分子および、阻害分子の購入に対して研究費を使用する予定である。
|