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2012 年度 実施状況報告書

獣医療におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の保菌と予防に関する疫学研究

研究課題

研究課題/領域番号 23790671
研究機関東京農工大学

研究代表者

石原 加奈子  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (60515849)

キーワードMRSA / SCCmec / 薬剤耐性 / CNS
研究概要

獣医師らからメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を分離する過程で、メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(MRCNS)が多数分離された。MRCNSは、耐性遺伝子であるmecAの起源と考えられているため、72株のMRCNSの解析を行った。
54株(75%)がStaphylococcus epidermidis (MRSE)と同定され、大半を占めた。MRSAとは異なり、MRCNSの26株(36.1%)はβ-ラクタム系のみに耐性を示したが、それ以外の3剤以上に耐性を示す多剤耐性株も22株(30.6%)認められた。また、日本の院内感染型および獣医師らから分離される大半のMRSAのSCCmec型はII型であるが、MRCNSのSCCmec型は48株(66.7%)がIV型で、II型は3株と少なかった。
MRCNSのSCCmec IV型のうち、MRSEの10株は、典型のclass B mec複合体より1.5kb程大きな非典型を保有していたため、IS1272 transposaseとmecA遺伝子の間の約4.4kbの塩基配列を決定した。10株のこの領域の構造は、IS1272 transposaseとmecR1の間に、transposase 20様遺伝子が挿入され、韓国で分離されているMRSA ST72の非典型のclass B mec複合体と相同性が高かった。韓国のMRSA ST72は、SCCmec上にpUB110を保有し、IV型のうち、subtype Aに分類されるが、非典型class B mec複合体を保有するMRSEはpUB110を持たず、SCCmec全体の構造は異なると考えられた。
これらMRCNSの病原性は低いと考えられるものの、多剤耐性株も多く、獣医療における院内感染対策を強化する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

MRSA調査の中で先行研究と比べ高率に分離されたMRCNSの解析を概ね終わらせることが出来た。MRCNSは、MRSAの持つSCCmecの起源と考えられているが、分離されたMRCNSの一部に、MRSAが持つ非典型mec複合体と相同性の高い構造を持つ株が存在することを明らかにできた。

今後の研究の推進方策

今年度は、MRCNSの解析を中心に行ったため、初年度に分離したMRSAの遺伝子解析を進める。また、MRSA保菌にかかる疫学情報の多変量解析等を行い、危険因子と予防因子を検索する。
本研究課題の最終年度となるため、論文の執筆等にも着手する。

次年度の研究費の使用計画

遺伝子解析を中心とした消耗品の購入の他、論文執筆の際の英文校閲、投稿料、印刷代等を計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 獣医師から分離されたメチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌の遺伝学的解析2012

    • 著者名/発表者名
      石原加奈子、酒井久美子、椿下早絵、田村 豊
    • 学会等名
      第154回日本獣医学会学術集会
    • 発表場所
      岩手大学(岩手県盛岡市)
    • 年月日
      20120914-20120916

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公開日: 2014-07-24  

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