研究課題/領域番号 |
23790672
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
小川 真規 自治医科大学, 医学部, 講師 (70525451)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | アルミニウム / 生物学的モニタリング |
研究概要 |
本年度は19名の健康な男性アルミニウム鋳造作業者を対象に研究を行った。参加者には服薬および加療中の疾患がないことを確認し、事前にインフォームドコンセントを行い研究参加の同意を得た。シフト後半の作業終了前に作業場とは異なる場所において採尿・採血を行った。尿中アルミニウム濃度の測定はICP-MSにて行い、また、肺・骨・炎症・造血器・腎のマーカーとして血中KL-6・SP-D・TRCP-5b・IL-6・IL-8および尿中δ-ALA・β2-マイクログロブリンの測定を行った。また酸化的DNA損傷のマーカーとして尿中8-OHdGの測定を行った。尿中アルミニウム濃度は、0.62-3.99umol/l (1.64umol/l)、クレアチニン補正にて5.4-55.1ug/g cre(平均濃度:23.5ug/g cre)と既報のアルミニウム非曝露者の尿中アルミニウム濃度と比べ高値であった。しかし前臨床的指標は一部を除き、ほぼ基準値内であった。また尿中アルミニウム濃度と前臨床的指標や作業年数、年齢、8-OHdGとの間に有意な相関は認められなかった。これらのことから、健常なアルミニウム作業者においては、作業年数によるアルミニウムの蓄積は認められず、また作業によりアルミニウムが体内に取りこまれアルミニウムの尿中排泄は増加するものの、少なくとも尿中アルミニウム濃度が4umol/l(55ug/g cre)以下の範囲においては人体に大きな影響を与えない可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度及び次年度でほぼ予定通りの症例数が集められるものと考えられるため。また、尿中アルミニウム濃度と前臨床的指標との間に有意差は認められないが、認められないこと自体が貴重なデータとなりうるため特に問題とはとらえていない。
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今後の研究の推進方策 |
本年度同様曝露者を6-7例、あらたに年齢をマッチさせた非曝露者を12-13例収集する予定である。採血・検尿を行い尿中アルミニウム濃度の測定、前臨床的指標の分析を行っていく。収集した曝露者、非曝露者(対照群)のデータを、健康診断等のデータと合わせてより詳細に検討していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度と同様、分析費用および研究協力者に対する謝金に使用する。また収集したデータを処理するため検定ソフトの購入を予定している。また研究発表のための費用としても用いる。
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