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2011 年度 実施状況報告書

化学物質評価のためのヒト型P450を持つメダカの作製

研究課題

研究課題/領域番号 23790673
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

吉岡 範幸  慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70365229)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードCYP1A
研究概要

公開されているメダカゲノム情報から得られた配列をもとにRT-PCRを行い、メダカCYP1A1遺伝子をクローニングした。シーケンスにより塩基配列、およびエキソン・イントロン境界を確定し、同時に、スプライシングバリアントがないことを確認した。C末50~60残基手前には、Phe-X-X-Gly-X-Arg/His-X-Cys-X-Glyという共通配列があり、ヘムの結合に関与している。メダカCYP1A1遺伝子のC末付近に、Phe-Ser-Leu-Gly-Lys-Arg-Arg-Cys-Ile-Glyという配列を持つ。したがって、この共通配列をコードする部分より上流のエキソン部分をターゲットに、メダカTILLINGライブラリーの6,000サンプルのゲノムDNAストックをPCR増幅した。各PCR産物をシーケンスし、スプライス部位の変異(イントロンの変異だが、スプライシングに必要なGT-AG規則が破壊されているもの)を確認することができた。人工授精を行って、CYP1A遺伝子が破壊されているメダカを得た。実際にスプライシングの異常が起きているかRT-PCRを行った。変異体において第3エクソンのスプライシングが起きていいないことを確認した。次に正常蛋白質合成の有無をウェスタン解析により調べた結果、変異体において正常蛋白質は合成されていないことを確認した。さらにはEROD活性テストをおこない、代謝活性を調べたが活性が無いことがわかった。以上により得られた変異体はCYP1A遺伝子を完全にノックアウトしていることを確認できた。次にCYP1A1遺伝子以外にも多数点変異を含んでいるので、野生型に戻し交配を4回行い、これらを取り除いた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究で肝となるCYP1Aノックアウトメダカの作成が完了した。作成したノックアウトメダカは野生株と比較してベンゾピレンや3-メチルコラントレンといった多環芳香族炭化水素により低濃度で毒性を発現し、高感受性であることが解った。これら多環芳香族炭化水素がノックアウトメダカでは代謝されにくいことも確認できた。残りはトランスジェニックメダカ作成し、同様に化学物質の曝露とその定量、変異原性を調べるだけであり、順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

マイクロインジェクションにより、ヒト由来のCYP1A1遺伝子のBAC断片をCYP1A遺伝子破壊メダカの受精卵に戻し、トランスジェニックメダカを作製する。作製したトランスジェニックメダカのCYP1A1の発現と発現量をリアルタイムPCR、ウェスタンブロットで確認する。さらにCYP1A1で代謝されるベンゾピレンを曝露し、導入したCYP1A1がヒトと同様に代謝するか検証する。好発癌の系統であるp53遺伝子破壊メダカと交配することにより、さらに鋭敏に変異原性が確認できるか調べる。曝露物質には同様にベンゾピレンを用いる。

次年度の研究費の使用計画

未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入に充てる予定である。次年度の研究費は大部分を実験試薬、実験器具といった消耗物品費に充てる予定である。それ以外では研究結果発表のための旅費、論文投稿費、報告書作成費に充てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 遺伝子改変による化学物質高感受性メダカの作成2012

    • 著者名/発表者名
      吉岡範幸、大野薫、大前和幸、谷口善仁
    • 学会等名
      第82回日本衛生学会学術総会
    • 発表場所
      京都大学吉田キャンパス(京都)
    • 年月日
      2012月3月25日
  • [学会発表] メダカを用いたPAH代謝におけるCYP1A機能解析2012

    • 著者名/発表者名
      谷口善仁、吉岡範幸、大野薫、大前和幸
    • 学会等名
      第11回分子予防環境医学研究会
    • 発表場所
      倉敷市民会館(岡山)
    • 年月日
      2012年1月27日

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公開日: 2013-07-10  

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