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2012 年度 実施状況報告書

自殺高率地域での自殺の社会コスト:社会的包摂アプローチによる公衆衛生学的検討

研究課題

研究課題/領域番号 23790682
研究機関秋田大学

研究代表者

金子 善博  秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70344752)

キーワード自殺 / 社会的コスト
研究概要

地域における自殺予防対策の必要性の認識の拡がりおよび社会的コストの検討のために、A市において質問紙調査を児童民生委員等地域の役職者を対象に行った。調査は秋田大学医学部倫理審査委員会による承認を受け、平成24年12月に郵送法(一部手渡し配布)により実施した。回答数は2152件、回収率は69.4%、回答者の平均年齢(SD)は65.8(8.6)歳、男性は43.0%、地域の役職の平均在籍年数は6.1年だった。
調査において、自殺予防に必要と思われる対策を複択により質問した結果、経済的保障(33.8%)、家族の人間関係の改善(31.6%)、交流や趣味の場の充実(27.4%)、雇用政策(22.7%)、相談窓口の拡充(19.0%)、保健福祉サービスの充実(12.9%)、遺族支援の充実(5.2%)などが主立った回答であった。
また、社会的コストの認識として対策への支払意思額を住民一人あたりに充てるべき政策費(予算額)として、同市および所在県の一人あたりの対策予算額、および同県のがん対策予算額(それぞれ約120円、約30円、約440円)を参考に回答を求めた。180人が回答し第一四分位は100円、中央値は200円、第三四分位は500円だった。しかし、充てるべき費用についてわからないとの回答が多数を占めた。
2変量間の分析により、自殺対策に充てるべき費用の回答者についてその回答額の多寡に関連した要因を検討したところ、自殺予防に必要と思われる対策のうち、保健福祉サービスの充実(P=0.036)、遺族支援の充実(P=0.023)が関連し、家族の人間関係の改善(P=0.056)との弱い関連があった。自殺対策に関する支払意思額と経済的保障や雇用対策の必要性の認識との有意な関連はなく、その他、基本属性である年齢や性別、地域の役職在籍年数などの項目との関連も認められなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究計画上の進捗状況はやや遅れているが、前年度からの遅れは取り戻しつつある。本年度は地域における質問紙調査を自治体の協力により行ったが、実施時期の調整および各種手続きのため年度後半の実施となった。そのため協力者などへの結果のフィードバックを次年度に持ち越すこととなった。

今後の研究の推進方策

最終年度となる次年度は、自治体および協力組織との調整のため12月の実施となった地域における質問紙調査の解析を進めると共に、持ち越しとなった調査結果の研究協力者へのフィードバックを行う予定である。また、当初の研究計画に沿ってデータ分析、論文執筆、学会発表をすすめる。調査結果のフィードバックはデータ分析、論文執筆等の研究活動と並行して実施可能であり、研究機関、内容の変更は予定していない。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費は、当初の全体計画に沿って統計解析のための物品、消耗品および成果発表のための費用、その他通信費、手数料等に充てる。

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公開日: 2014-07-24  

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