経口避妊薬を使用していない20歳から22歳の女子大学生(N=65)を対象として、再生産機能老化のバイオマーカー(抗ミュラー管ホルモン:AMH)と月経周期および生活習慣の関連について検討した。月経痛の程度を4段階にわけると、もっとも痛みの軽い女性と比較して、もっとも痛みの重たい女性では49.6%(95%信頼区間6.5%-72.8%)AMH濃度が低かった。また規則性な月経周期を示す女性と比較して、不規則な月経周期の女性ではAMH濃度が高かった。これらの結果を論文としてFertility and Sterility誌に発表した(Konishi et al. 2014)。 AMH濃度は非喫煙者と比較して喫煙者で低いことが報告されているが、受動喫煙の影響については質問票で受動喫煙の程度を評価した先行研究しか存在しない。そこでバイオマーカーで測定した受動喫煙の曝露とAMH濃度の関連を分析するため、上記の女子大学生の尿検体を用いてニコチンの代謝物であるコチニン濃度を測定した。コチニン濃度は質問票で受動喫煙なしと回答した女性と比較して、受動喫煙ありと回答した女性で有意に高かった。しかしながら、尿中コチニン濃度とAMH濃度の間には有意な関連はみられなかった。 上記の調査とは別に、受胎待ち時間の分布および関連要因の影響を推定することを目的として、日本全国に居住する20-44歳の女性3214人を対象としたインターネット調査を実施した。避妊の使用をやめた時期を回答しない女性が予想をはるかに上回って存在し、これはあいまいな避妊の使用が多いためと考えられた。それを裏付けるデータとして、妊娠を希望しないのにも関わらず、確実な避妊を実施しない女性が半数以上いることがわかった。これについては現在、論文を投稿中である。
|