研究課題
これまで,広島大学原爆放射線医科学研究所の広島原爆被爆者データベース(ABS)に基づくデータ解析を中心に行ってきたが,平成25年度は,放射線影響研究所(RERF)が管理する寿命調査コホート(Life Span Study; LSS)コホートの公開データに対しても同様な解析を行い,ABSコホートデータとの比較検討を行った.LSSコホートの公開データには,詳細な位置情報は含まれないため,主にがん死亡危険度の年齢依存性について検討し,初期線量による超過相対リスク(ERR)と近距離被爆によるERRについてポアソン回帰分析を適用することで解析を行った.その結果,初期線量に加えて非初期線量の指標として被爆距離(爆心から3km以内かどうかのダミー変数)を用いたERRモデルが最も適合した.初期線量と被爆距離に対するERRの上昇は被爆時から共に遅延して現れ,初期線量に比べて被爆距離による被爆後のERRの上昇は緩やか(ピークまでの経過時間が長い)ことが示唆された.また,被爆距離の被爆時年齢依存性は単調ではなく,ある年齢層に特異的であることが示唆された.本研究で示唆された寿命調査コホートにおける非初期線量によるERRの特徴は, ABSコホートに対する結果と類似した傾向であった.
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