研究課題/領域番号 |
23790696
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研究機関 | 神戸国際大学 |
研究代表者 |
宮本 明 神戸国際大学, リハビリテーション学部, 准教授 (80404771)
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キーワード | パーキンソン病 / 嚥下障害 / 中枢性疲労 / 非運動症状 / 茎突咽頭筋 / 抑うつ / Cox比例ハザート比 / 国際情報交換 |
研究概要 |
パーキンソン病患者の嚥下障害が多いものの、臨床外来では、多彩な運動障害と非運動障害に目を奪われるため、見落としがちです。特に、パーキンソン病患者において、中、軽症者は在宅医療のケースがほとんどであるため、目に見える嚥下障害と、それによる不顕性誤嚥も少なくない。本研究は患者自身、またはその家族でも簡単な質問紙の調査から、患者が持ちうる嚥下障害ないし不顕性誤嚥のリスクをスクリーニングさせ、早期対応することによって、誤嚥性肺炎の予防のみならず、患者のQOLを高めることが目的としています。 山口大学附属病院、札幌医科大学附属病院、と札幌山の上病院の他、2013年からは中国中山大学附属病院、中南大学湘雅二医院、及び中国リハビリテーション研究センター(CRRC)が加わり、臨床調査と情報交換の共同研究を進めています。現在、共同研究の成果は日本国内外の学会において発表するのみならず、第3回中国嚥下障害リハビリテーションサミットフォーラムにおいて、特別の招待講演として招かれ、さらに研究成果の一部をChinese journal of physical medicine and rehabilitationに掲載されています。これからは、後期調査の継続とともに、これまでに採集したデータを最終的な統計学処理と分析を経て、パーキンソン病患者の非運動性症状と嚥下障害の関連性を証明し、広く公表していく予定です。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は日本国内で共同実施する断面調査と3年間の前向き追跡調査を予定していたが、国内の共同研究施設からの患者数が限られているため、患者登録が一時目標数より少なかった。このため、昨年度は中国中山大学附属病院、中南大学湘雅二医院、及び中国リハビリテーション研究センターを新たに共同研究の施設として加わり、患者登録と臨床調査の協力とともに、リアルな情報交換も行われてきました。
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今後の研究の推進方策 |
今後は山口大学附属病院神経内科学教室を研究事務局として、国内外他学の各研究協力機構との連携をさらに密にして、調査継続とデータ分析、そして情報発信と積極的な情報交換を進める予定です。 なお、本研究は断面調査と追跡調査の両方を実施しているため、追跡調査においては、調査期限のギリギリまでの対象者の調査結果を待たなければならない。一方、断面調査の対象者数が多いほど、調査の精度と客観性が高まるため、新年度は患者のリクルートが比較的に容易な中国国内の調査対象者数をさらに増やす準備を進められています。
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次年度の研究費の使用計画 |
中国中山大学第3附属病院をはじめとする海外3施設との共同研究のため、人件費、機材、消耗品などは現地の通貨で決済されており、先方の共同研究機構の債務処理によって行われています。なお、中国側の会計の決算年度は日本と違うため、730,670円が次年度分として、請求することとなります。 平成23年度の助成金残高730,670円を次年度の助成金と合わせて、平成24年度の研究助成金として利用されます。内訳としては、①患者、その他研究協力者、及び施設用謝礼品と人件費の支払い、②研究機材と資料の購入、③調査資料の作製及び調査の実施費用、④研究打ち合わせ、情報交換、学会発表と投稿費用などの実施費用に当てられます。
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