パーキンソン病患者の嚥下障害が多いものの、臨床外来では、多彩な運動障害と非運動障害に目を奪われるため、見落としがちです。特に、パーキンソン病患者において、中、軽症者は在宅医療のケースがほとんどであるため、目に見える嚥下障害と、それによる不顕性誤嚥も少なくありません。本研究は患者自身、またはその家族でも簡単な質問紙の調査から、患者が持ちうる嚥下障害ないし不顕性誤嚥のリスクをスクリーニングさせ、早期対応することによって、誤嚥性肺炎の予防のみならず、患者のQOLを高めることを目的としています。研究の協力機構として、山口大学医学部附属病院、札幌医科大学附属病院と札幌山の上病院の他、2013年からは中国中山大学附属病院、中南大学湘雅二医院、及び中国リハビリテーション研究センター(CRRC)が加わり、臨床調査と情報交換の共同研究を進めています。現在、共同研究の成果は国内外の学会において発表するのみならず、第3回中国嚥下障害リハビリテーションサミットフォーラムにおいて、特別招待講演として招かれ、さらに研究成果の一部がChinese journal of physical medicine and rehabilitationに掲載されています。今後は山口大学附属病院神経内科学教室を研究事務局と拠点として、国内外各研究協力機構との連携をさらに密にして、積極的に研究結果の情報発信と情報交換を進める予定です。
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