研究課題/領域番号 |
23790697
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
古川 慎哉 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (60444733)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | うつ病 / 糖尿病 / 睡眠呼吸障害 / 疫学研究 |
研究概要 |
糖尿病とうつ病はそれぞれ睡眠呼吸障害(Sleep Disordered Breathing :SDB)と関連していることが諸外国を中心に報告されている。しかし糖尿病患者におけるうつ病に関する大規模な調査をされておらず、うつ病の有病率も不明である。また我が国の糖尿病の特徴としては比較的痩せ型の糖尿病が多い点や脳卒中の合併症が高率であることなど諸外国と大きく異なるため、うつ病やSDBの影響を解明するためには独自の調査が必要である。我が国で実施中の糖尿病患者を対象とした多施設共同研究のなかでも、ベースラインデータにうつの重症度を含めた研究は本研究のみである。 本研究では、申請者らが愛媛県の主要基幹病院(糖尿病学会教育認定施設)と構築した極めて密接な協力体制を持つ糖尿病専門医ネットワークを基盤として、糖尿病患者を対象に質問紙法によるうつ病症状のスクリーニングを行い、同時にの評価を実施する。SDBが糖尿病のうつ症状へ及ぼす影響を明らかとし、糖尿病患者におけるうつ病、SDB、循環器疾患との関連性を明らかにする予定でである。長期的なプロスペクティブコホートのベースラインデータの整備するための、多施設共同疫学研究を行う。 愛媛県内10病院の糖尿病患者約2500名を対象する。全施設で臨床研究倫理委員会で承認を得た上で調査を実施する。また本研究は、文書および口頭で説明し、同意を取得した上で実施する。糖尿病の罹病期間、糖尿病の治療歴など糖尿病に関する一般的な調査を行う。糖尿病合併症の評価は日本糖尿病学会専門医が行う。また眼科専門医が網膜症の評価も実施する。うつ病、脳卒中、虚血性心疾患の既往などについて問診、診察、生理検査などから調査を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
愛媛県の関連施設において本研究に関する症例の同意取得及び調査が行われている。全症例が日常臨床の中で同意取得を行うために、説明および同意取得に時間を要している。初年度で900例の同意取得を行い、自己記入式の調査票の回収、睡眠呼吸障害のスクリーニング検査を実施した。現在は登録症例のデータを入力については500例までのデータ入力が終了している。本調査の対象患者は2500名を予定しており、進捗状況としてはやや予定よりも症例数が少ない点があげられる。しかし現段階では関連施設いずれにおいても順調に症例登録が行われており、予定症例数の登録が出来る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
登録症例数の増加が本研究においては極めて重要である。各施設での登録に関する工夫などの情報共有や登録症例数の確認やデータの回収のために、定期的な打ち合わせ会を開催を予定している。また登録状況についてはメールや封筒で定期的にニュースレターを作成して配布し、各施設における症例登録を促す予定である。また症例数不足が予測された場合には本年度に参加施設追加を予定している。膨大な自己記入式の質問票を作成しており、ややデータの入力が各種データの整備に時間がかかっているため、本年度はデータ入力体制の見直しを行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
睡眠呼吸障害のスクリーニング検査を1000人分実施予定で、その検査費用として使用予定である。また膨大なデータの入力のために、データ入力人員増員を予定しており、人件費として使用も予定している。中間時点でも1000人近くのデータの集積化が進んでおり、現段階でのデータをまとめて国際学会(アメリカ糖尿病学会 2012年6月 フィラデルフィア)で発表予定である。膨大なデータのため、入力の進捗状況を見ながらパソコンの購入を考慮している。さらに愛媛県内全域で実施されているため、インターネットを介しての登録を可能とするためにWifiなどの機器購入や論文作成のための英文校正にも研究費を使用したいと考えている。
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