研究課題/領域番号 |
23790698
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
塚本 美鈴 九州大学, 大学病院, 助教 (60423638)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 結核 / 発見の遅れ |
研究概要 |
長崎県自体の新登録患者数については年々減少してはいるものの、2009年の新登録結核患者罹患率は22.1(人口10万対)と全国平均を上回っている。また、罹患数のうち、70歳以上の高齢者が占める割合は60%以上となっており、これも全国平均を大きく上回っており、初回標準治療レジメであるPZAを含む4剤の処方割合は約50%と低くなっているのが現状である。2009年の結核統計によると、長崎県における発病から初診まで2か月以上経過している割合は17.9%と全国平均とほぼ同数であったが、長崎県は大小約600の島々をもつ全国一の離島県で、人口約145万人のうち、約10%が離島在住であるという特徴がある。これら離島には高齢者が多く在住している上、結核病床を有する指定医療機関や呼吸器・感染症専門医あるいは保健所までのアクセスが非常に悪い状態にあるといえる。これらの事は患者発見の遅れにつながる要因かもしれない。また、未だ結核に対する偏見も一部では存在している。本研究では長崎県における結核患者発見の遅延の状況と社会人口学的情報、結核に対する知識および認識、居住地域での結核に対する差別や恥辱など、その背景を調査し、発見遅延の関連要因を分析すること目的とした。これにより長崎県における、早期結核発見のための政策策定ひいては結核対策のあり方についても検討する。長崎大学大学院医歯薬学総合研究科倫理委員会の承認を得た。それをふまえ、長崎県10ヵ所の保健所へ研究の要旨および協力のお願いを送付し、1月23日には県所長会へ出席し、研究内容の検討を行った。その結果、同意が得られない結核登録患者についても、すでに保健所にて法律に基づいて聴取した情報が取れるよう再度倫理委員会へ承認申請を行うこととした。条件付き承認が得られたため、研究開始および協力要請の準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科倫理委員会の承認を得て長崎県10ヵ所の保健所へ研究の要旨および協力のお願いを送付した。現場関係者との面談にて、現場での活動と研究デザインの間に困難な事項が予測された。そのため、平成24年1月23日には県所長会へ出席し、関係者と研究内容の検討を行った。その結果、本研究の重要性及び必要性を確認した。そのため、当初計画では同意が得られた患者のみを対象に研究を進める予定であったが、同意が得られない結核登録患者についても、すでに保健所にて法律に基づいて聴取した情報が取れるよう、個人情報の保護を担保する方法を検討したうえで、再度倫理委員会へ承認申請を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
上記のような経過で、平成24年3月30日に倫理委員会にて審査が行われ、条件付き承認が得られた。必要条件を満たした後、再度各保健所へ研究への参加および協力を要請し研究を開始する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
結核登録患者へのインタビューが始まり、訪問に関して旅費が発生する。また、協力保健師および患者への謝礼が発生する予定である。
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