研究概要 |
平成23年度は、平成17年の調査をベースラインとした、スポット尿中Na、K、尿素窒素と循環器疾患リスクファクターの前向きコホート研究(研究1)とスポット尿中のC-ペプチド、Na、K、尿素窒素濃度と循環器疾患リスクファクターの横断研究(研究2)について、研究を進めた。研究1については、平成17年度に茨城県C市K地区において健康診査を受診した一般男女3,247人のうち、この時に高血圧を示さなかった1,915人について、平成20年度~平成22年度の健康診査の受診状況を調査した。1,915人中、1,109人がこの期間中に健康診査を再受診していた(追跡率58%)。さらに、ここから降圧薬の内服を開始していた61人を除いた1,048人について、平成17年度のスポット尿検査の成績と、その後の血圧値の変化量の関連を調べた。結果は、全対象者において、スポット尿中Na濃度が高いと追跡期間中の収縮期血圧値の上昇幅が大きくなることが示された。また、この関係は非肥満者でより強く、非肥満者ではスポット尿中Na濃度が高いと追跡期間中の収縮期・拡張期血圧値の両方の上昇幅が大きくなることが示された。この結果は第22回日本疫学会総会で発表し、論文としてまとめ、現在専門誌に投稿中である。研究2については、自治体の同意確認や研究に関する倫理委員会の審査が早期に終了したことから、茨城県C市K地区住民に対するスポット尿検査を本年度に施行した(平成23年11月、同12月、平成24年2月)。スポット尿検査の受診者数は1,961人であった。検査の受診率は99%であった。現在、平成24年2月の健康診査を受診した者のデータも含めたデータセットを作成中であり、これが完成次第分析を開始する予定である。
|