本研究では、高齢者の閉じこもりの観点から高齢者の認知機能に応じた生活活動、QOLとの関係、とくに趣味活動のプログラムを開発することを目的とした。 研究目的に向けて、平成23年度にはベースライン調査を実施し、高齢者向けの簡易クラフト作業活動プログラムを開発および介入、平成24年度は継続して介入を実施し、その結果の分析および検討を行った。 介入対象は、平成23年度の都市型の集合住宅在住の高齢者23名を対象としたベースライン調査時に、無作為化比較試験による研究への参加同意の確認を行い実施した。 介入デザインは、対象者を無作為に、手工芸群、運動群、自由活動群の3群に分け、12週間で計6回。1回の介入は90分を設定し、それぞれの群で開発したプログラムの活動教室を実施した。プログラム実施においては、手工芸群は作業療法士による認知機能、日常生活の状況を考慮した手工芸プログラム、運動群は健康運動指導士による参加者の運動能力を考慮した運動プログラム、自由群は個人で活動を自由に設定し実施した。アウトカム調査は、12週後にベースライン時と同様の調査を実施した。調査データの分析は、各群において調査項目ごとに介入前後の比較をWilcoxonの符号検定を用い検討した。 結果、対象者23名が全6回のプログラムに参加し中途終了者はいなかった。手工芸群において、身体活動量のうち歩数、活動時間、運動強度(強)において有意な差が認められた(p<0.05)。他の運動群、自由群および調査項目において有意な差は認められなかった。 考察、手工芸群において身体活動量に有意な差が認められたことより、開発した認知機能、日常生活の状況を考慮した手工芸プログラムは、参加者の身体活動量に影響を与えるプログラムであることが明らかになった。今後、他の生活活動等についても検討しプログラム開発を進める。
|