ベンジジン、β‐ナフチルアミンによる尿路系以外の部位の発癌リスクを検討する目的で歴史的コホート研究を実施した。対象者は1953-1972年に芳香族アミンを取扱っていた男性労働者224名である。大阪府がん登録資料、死亡診断書または診療情報によって癌罹患が確認できたケースを癌罹患ありと判定した。その結果、2011年末までに216 名(96.4%)の追跡に成功し、本コホートでは、膀胱癌に加えて肺癌の有意なリスク上昇を認めた。さらに肺癌リスクは、潜伏期間を考慮しても、芳香族アミン製造時期の在職年数が長かった労働者群で有意に増加し、喫煙などの影響を考慮しても在職年数が長い群で上昇する傾向を認めた。
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