研究課題/領域番号 |
23790710
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
平井 寛 岩手大学, 工学部, 准教授 (20387749)
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キーワード | コミュニティバス / サロン / 高齢者 / 操作変数法 |
研究概要 |
本研究の目的は2010年調査を事前,2013年を事後調査としたパネルデータを用いて,バス利用,サロン参加が高齢者の活動性向上や健康改善に与える効果を検討することである. 2013年10月,愛知県知多郡南知多町に居住する,要介護認定を受けていない65歳以上の全数に調査票を配布し3182名から回答を得た.このうち2010年調査にも回答した1864名のうちADL自立者1779名を分析対象とした. 本研究ではバス停の新設やサロンの参加による効果を評価するにあたって,操作変数法を用いたモデルを用いる.このモデルを用いる前提として,バス停やサロンから居住地区までの距離が,バス利用やサロン参加の有無と関連している必要がある.本年度はまずこの関連の有無を検討した.距離の計測にあたっては傾斜を考慮した道路距離を用いた.道路ネットワークデータは数値地図(国土基本情報)の道路データを用いた.対象地域の一部は起伏に富んでおり,自家用車を利用できない高齢者が含まれることを考慮すれば傾斜による負荷を考慮する必要がある.数値地図(国土基本情報)の10mメッシュ標高データをラスター化して用いてGIS上で平均傾斜と表面長を付加し,表面長に1+sinθ(θは傾斜角)をかけて傾斜の負担を考慮した道路距離を算出した. バス停からの距離とバスの新規利用にはほとんど関連がみられなかったが,サロンからの距離とサロンの利用は強く関連しており,サロン参加の効果評価において,サロンから居住地区までの距離が操作変数として適当な可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査後早い段階でパネルデータを完成させることができ,25年度中に分析に取り掛かることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
今後はサロンの効果評価のための分析を中心に進める.バス停の新設の効果評価については,新規利用はほとんどみられなかったため,分析モデルの改良が必要である.均一料金の導入により継続的な利用者の利便が向上した可能性があるので,継続利用者の利便の向上と活動・健康促進の関連を捉えられるモデルにしていく必要がある.
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次年度の研究費の使用計画 |
アンケート調査費用がかさんだために,旅費に予定していた一部を追加的に用いた.そのために旅費の額が小さくなり,調査対象地域への旅費として使用できなくなったため. 次年度は助成金の用途として研究打ち合わせと成果発表を予定している.次年度使用額は翌年度分と合わせてこれらのための旅費として使用する.
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