研究課題/領域番号 |
23790711
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
東山 綾 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (20533003)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 生活習慣 / シスタチンC / 脂肪酸分画 / 腎機能 |
研究概要 |
本年度の計画は、1神戸市民を対象としたコホート研究のベースライン調査において、約400名を対象に、脂肪酸分画とシスタチンC、またうち100名程度に動脈硬化指標であるCAVIを実施すること及び、2篠山市民を対象に、約150名において、脂肪酸分画とシスタチンCを測定することであった。1については、本年度で約500名の神戸市民に研究協力者として協力を得て検査を受けて頂くことができ、平成22年度に実施された研究協力者数とあわせると、約1100名の研究協力者を対象に、血中の脂肪酸分画とシスタチンCの測定値を得ることができた。またそのうちの約30%の人数に対し、CAVIのデータを取得することができた。以上の対象者は、循環器疾患やがんの既往がなく、高血圧、糖尿病、脂質異常症による薬物治療を受けていない人々であり、交絡因子の影響を大きく受けることなく、魚の摂取量に代表される生活習慣と関連が深い血中脂肪酸構成と新しい腎機能指標を用いて推定される腎機能との関連を検討できる基盤が整った。これは、公衆衛生学的見地からみても非常に意義深いことである。2については、本研究をその目的の一つとする疫学研究を、市と兵庫医科大学環境予防医学との共同研究事業の形へ発展できることとなった。従って、国民健康保険加入者で健康福祉センターで特定健診を受診する約1400名に研究への協力をお願いすることとなり、当初の計画よりも多くの協力者を得られる可能性があることから、本年度に予定していた測定を、次年度予定分とあわせて行うことになった。1や2のデータを、次年度にあわせて検討することができれば、脂肪酸分画と腎機能の関係だけでなく、脂肪酸分画や腎機能を地域間で比較するなど、様々な検討を行うことが可能であり、意義深いデータを提供できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神戸においては、本年度は予定より多くの対象者を確保することができた。またデータ整理も順調に進行しており、一部のデータを用いて学会発表を行った。さらに学術論文の原稿作成作業も進んでおり、研究としては非常に順調に進行している。篠山においては、研究遂行にあたっての市との調整などに本年度の多くを費やした。その結果、本研究を市と大学との共同事業の一部として行うことになり、年度が改まる平成24年度から共同研究事業に関し広く市民に協力を呼びかけるほうがよいため、次年度にデータ取得を行うことになった。研究の進行としては予定より遅れているものの、より多くの研究協力者を得て、今後さらに研究を発展させられる可能性が生じたため、おおむね順調な進捗状況だと考える。
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今後の研究の推進方策 |
1)神戸については、既に取得したデータの分析をより進める一方、縦断研究の形で検討することもできるようにするため、平成22年度の神戸トライアルベースライン調査を受診した集団を対象に、追跡調査へ招聘する準備を進めることとし、約400~500名の追跡調査データを取得することを目標とする。このデータ取得に関して本研究助成の一部が使用される予定である。2)篠山については、データ取得を行う年度となり、将来的には神戸で蓄積されたデータと比較検討可能な人数を確保するため、多くの市民の皆様に研究協力者としてご協力頂くことを目標とする。1)と2)のデータをあわせて、データの地域差や、脂肪酸分画とクレアチニンまたはシスタチンCにより推定される腎機能の関連を横断的また縦断的に検討すると同時に、一部の対象者についてはCAVIとの関連も検討するなど、データ取得とデータ解析を並行して進める必要がある。1)2)ともに、データセットの作成ができたものから、引き続き成果発表を行うことを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主な使途は、篠山における脂肪酸分画やシスタチンCの測定費用である。対象人数については、篠山では新たなコホート集団の形成にあたる年であり、およそ年間で1400名が受診する特定健診の集団健診参加者のうち、どの程度の同意率を得られるかは、実際に数回の健診を経てみなければわからないが、他の地域で行われた同意のもとに行う疫学研究の結果から、およそ1000人から同意が得られると見込んで、平成23年度と24年度の予算の振り分けを考えた。平成24年度の7月には、1年を通じた篠山市での協力者総数が推定可能となる予定である。また神戸での縦断的検討を行うために、平成22年度に神戸トライアルベースライン調査を受診した対象者と同じ人々約600名に、平成24年度8月以降に追跡調査への参加を呼びかける計画も順調に進んでいることから、篠山で使用する金額の推定値を参照しながら、神戸でシスタチンCの再測定にも本研究助成費を使用する計画である。
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