研究課題/領域番号 |
23790719
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
西 真理子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (70543601)
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キーワード | 高齢者 / 孤立 / 孤立感 / 健康 |
研究概要 |
本研究の目的は,社会的孤立を客観的な「孤立状態」と主観的な「孤立感」の2側面から捉えた上で,社会的孤立の特徴と関連要因ならびに社会的孤立状態が高齢者の健康面に及ぼす影響を検討し,社会的孤立の実態を明らかにすることである。 申請者らは,平成20年度に埼玉県和光市と協働し,65才以上の地域住民を対象に「シニア世代の安全・安心な暮らしに関する調査」(社会的孤立の実態把握を目的とした調査)を実施し,平成22年に追跡調査を実施した(第1回追跡調査: n=2275, 有効票回収率78.3%)。本研究では,同じ2年間隔となる平成24年(本年度)に第2回追跡調査を実施する予定でこれまで同市と協議を重ねてきた。 その結果,当初の予定は若干変更され,本年度は第2回追跡調査も兼ね,65歳以上の要介護4・5と施設入居者を除く全住民11,172名に対して,2012年10月~11月に郵送式調査を実施することになった(他の研究補助金取得による調査規模拡大)。 このように,追跡調査のみ実施する計画が,より大規模な調査へと発展した経緯はあるが,本研究目的である第2回追跡調査の実施概要については以下の通りであった。第2回目追跡調査では,第1回追跡調査の対象者のうち,平成24年度7月1日時点で死亡および転出,施設入所の状況が把握された者を除く2112人を追跡対象とした。結果,1806人(85.5%)より回答を得ることができた。 本年度実施した調査データの分析結果の一部は,次年度開催される国際学会(The 20th IAGG World Congress of Gerontology and Geriatrics)にて報告する予定である(発表確定済)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,社会的孤立を客観的な「孤立状態」と,主観的な「孤立感」の2側面から捉えた上で,社会的孤立の特徴と関連要因の検討,ならびに社会的孤立が身体的,精神的,主観的健康度に及ぼす影響を検討し,社会的孤立の実態を明らかにすることである。 本年度は追跡調査の実施を計画していた年であったため,本研究にとっての最重要年度であった。昨年度から和光市と協議を重ねてきたこともあり,(調査規模に若干の変更があったものの)2回目追跡調査は市と協同して問題なく実施・遂行することができた。 上記の調査実施と並行し,本年度は平成20年度のベースライン調査以降から本調査実施までの期間の死亡者に関する死因情報を,厚生労働省に死亡統計の二次利用申請を提出し,許可を得ることで入手する予定であった。しかし,この点は進められなかったため,次年度に行なうこととした。 死因情報の把握が予定通りに進まなかったとはいえ,本年度は調査を実施する計画が予定通りに進んだため,本研究の現在までの達成度はおおむね順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度にあたる平成25年度の研究推進方策は以下の通りである。 本調査のデータをクリーニングした後,本データと平成20年度および22年度に実施した調査のデータをリンクさせ,縦断的分析が実行できるようデータセットを整える。分析を進め,その結果は,適宜学会などで発表し,年度内に論文を投稿できるよう努める。 また,調査協力者へのフィードバックとして,調査結果をまとめたリーフレットを送付する。この際,社会的孤立予防や閉じこもり予防に繋がる情報を提供することも考慮に入れ,地域包括支援センターや緊急通報システムの紹介・説明パンフレット,地域で行われている活動なども同封したいと考えている。なお,フィードバックの内容や同封書類については,和光市と話し合いながら決定する。 さらに,上記の作業と並行し,平成20年度のベースライン調査以降から本調査実施までの期間の死亡者に関する死因情報を,厚生労働省に死亡統計の二次利用申請を提出する作業を進展させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は,研究結果を適宜学会などで発表し,年度内に論文を投稿する予定である。また,調査協力者へのフィードバックとして,調査結果をまとめたリーフレットを送付する予定である。以上の計画をもとに,研究費は,学会発表にかかる旅費や論文投稿にかかる費用,書籍の購入や文献複にかかる費用,研究打合せや調査地への出張にかかる旅費,リーフレットの作成と印刷などの委託費,リーフレット発送準備等にかかる人件費と書類の送付費,本研究の補助人員への謝金費などに適宜申請する予定である。 以上,研究を遂行する上で必要かつ妥当な研究費の使用計画であると考えている。
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