研究課題/領域番号 |
23790725
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
高坂 友和 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20551469)
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キーワード | DNA型 |
研究概要 |
現在、DNA型(特に常染色体上のマイクロサテライト)STRを用いた個人識別法が本邦のみならず、西側の先進国を中心とした警察機関で採用されている。多国間にまたがる国際犯罪やテロリスト、旅客機事故等のこれらの身元確認には出身地や国籍を知るうえで、個人の民族性が大きな手がかりとなる。しかし、STRのみの単一手法では民族性の識別は多くのデータが収集され解析されてきてはいるが、やや困難である。本研究の目的は複数のDNA型鑑定法を組み合わせて得たDNA多型情報から、民族性の推定に必要なDNA多型情報を解析し個人識別の向上を目指すことである。これまでに、実施計画書に基づき主に親から子へ感染し民族集団と密接な関連が有るJCポリオーマウイルス(JCV)のDNAタイピングおよびミトコンドリアDNA(mtDNA)の解析を行った。本研究の試料であるJCV陽性尿検体から抽出したDNAを用いてPCR法によりJCV Inter genic region (IG領域)とmtDNAのD-loopにあるHyper variable region (HV領域)を増幅し検出した。これらの結果、JCVのDNA型は民族性と密接に関連がみられた。mtDNA型はアジアでは多様性が見られたのに対して、ヨーロッパやアフリカではやや多様性に欠ける面があった。JCVのみでは、当然ながら個人識別を行うことは不可能であるが、民族性を知る上で有力な手がかりとなる。さらに、mtDNA型を組み合わせることで母系の民族性から出身国の推定することができる。本年はさらにY染色体SNP(男性のみ)のデータを加えて国際学会にて発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究の目的はほぼ達成しているが、当該年度に行う研究は他の共同研究により進捗に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の報告書にも記載したが、核内DNAの保存状態や収量の低さから常染色体DNAの解析は難しいことがあり、一時解析を中止した。しかし、一部解析が可能な試料も判明したことから、可能性がある試料のみ解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
追加の実験データを取得し、今年度が最終年度であるため、これまでの研究成果をまとめ、学会等で発表を行う予定である。
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