研究概要 |
少量のMethamphetamine (METH)を反復投与後に多量のMETHを投与した動物の中脳、特に黒質の神経細胞をターゲットとして、Glucose-regulated protein, 78kDa (Grp78)、mammalian target of rapamycin (mTOR)、v-akt murine thymoma viral oncogene homolog 1 (AKT)、activating transcription factor 6 (ATF6)について、免疫組織化学的手法 (IHC)を用いて解析した。 まず、神経細胞にGrp78が発現していることを抗KDEL抗体、ドーパミン作動性神経(DA神経)の指標であるTyrosine hydroxylaseを認識する抗TH抗体、GABA作動性神経(GABA神経)の指標であるGlutamic-acid decarboxylaseを認識する抗GAD67抗体を用いたIHCにより解析した。Grp78は、DA神経およびGABA神経と一致しており、これらの神経細胞にGrp78が発現していることが確認された。 次に、上記神経マーカーと抗mTOR抗体、または抗AKT抗体を用いたIHCによる解析では、mTORやAKTは、TH陽性細胞の一部およびGAD67陽性細胞の一部と一致した染色像が観察された。抗mTOR抗体および抗AKT抗体、抗mTOR抗体および抗ATF6抗体によるIHCでは、mTORとATF6、mTORとAKTの陽性像は一致していた。 これらの結果は、ATF6を介した小胞体ストレスpathwayおよび、mTOR/AKT pathwayがDA神経の一部及びGABA神経の一部では活性化されていることを示唆しており、これらのpathwayが、多量のMETH投与における中脳黒質の細胞障害に対する神経保護効果に寄与していると考える。
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