研究課題
ストレスによる交感神経―副腎髄質(SA)系の過剰な活性化は高血圧症、消化性潰瘍、免疫機能低下による発癌等を惹起する事から、本系の中枢性制御機構の解明はそれら疾病の予防と治療に必須である。代表者らは脳内エンドカンナビノイド(eCB)(いわゆる脳内大麻)の2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)がSA系賦活の中枢性制御に果たす役割について解析し、以下の事を明らかにした。①:2-AGのラット脳室内投与実験より、2-AGが中枢性SA系賦活に対して二方向性の役割[脳内プロスタノイド(PG)前駆物質としての促進性役割、かつ、カンナビノイドCB1受容体を介したeCBとしての抑制性役割]を有する事を明らかにした(平成23年度)。更に、中枢性SA系賦活に関与する新たな脳内PG産生機構を2-AGとの関連で明らかにした(平成25年度)。②:SA系賦活中枢の視床下部室傍核(PVN)に着目して、ストレス関連ペプチド、ボンベシン(BB)のPVN微量投与実験を行った。結果、PVN性のSA系賦活反応に対し、脳内eCBがCB1受容体を介して抑制性に作用する事を明らかにした(平成24―25年度)。③:BBのラット脳室内投与実験より、BBによる中枢性SA系賦活には脳内グルタミン酸(Glu)神経系が関与し、本賦活に対するeCBの抑制作用は、少なくともGlu神経の後シナプスより上流が標的となって惹起されている可能性を明らかにした(平成24年度)。以上の成績より、SA系の中枢性賦活制御機構が脳内2-AG/eCB/Glu神経系との関連で更に明らかとなり、ストレス関連疾患に対する新たな治療薬候補としてeCBシグナル増強薬が有用である可能性が示唆された。
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