研究課題/領域番号 |
23790755
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
岩崎 真佳 関西医科大学, 医学部, 助教 (30548706)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 再生医療 / トランスレーショナルリサーチ |
研究概要 |
心機能障害を持つ患者に対し、幹細胞・前駆細胞療法は有望な治療方法である。現在主に臨床応用されているのは自己骨髄細胞であるが、われわれがごく最近報告した多能性ヒトMesoangioblasts (MAB)は開心術術中の患者末梢血中に存在し、骨髄細胞よりも高い増殖能、分化能を有していると考えられる。これまでの我々の検討で、hepatocyte growth factor (HGF)がMABの末梢血中への動員に強く関与していることが示唆されており、術前に用いられるヘパリンが静脈内投与後、速やかに血漿中HGF濃度を上昇させることが報告されているため、ヘパリンに注目し研究を行っている。実際、開心術中のHGF濃度上昇に関してはヘパリンと人工心肺の関与が考えられ、2010年度には秋から検討を始め、ヘパリン投与後で、人工心肺使用前のタイミングでもcMABを獲得できることが判明し(獲得率100%; 症例数:7人)、cMABの末梢血中への動員に関与する因子として「ヘパリン→血漿中HGF濃度↑」が考えられたので今年度はヘパリンの効果を確認すべく、心臓カテーテル検査中の患者末梢血の検索を開始した。これまでのところヘパリンは容量依存性(100U/kg, 200U/kg, 300U/kg)に血漿中HGF濃度を上昇させ、獲得できるcMABのコロニー数も増加させることがわかった(100U/kgではほとんど獲得できなかった)。また、100U/kgのヘパリン投与による血漿中HGF濃度の上昇が、開心術中のものと同等であったため、100U/kgのヘパリンを使用し、心臓カテーテル検査のプロトコールを若干変更したところ、preliminary resultではあるが、十分なcMABのコロニー数を獲得できる可能性が示唆されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトにおいてヘパリン投与でMesoangioblasts (MAB)を獲得できることが判明した。また、その容量も200-300U/kgといった高容量ではなく、日常的に用いられる100U/kgで十分である可能性が示唆されている。また、動物においてはラットを用いて、効率の良い容量を模索中である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はヒトにおいては「ヘパリン投与によるMesoangioblasts (MAB)の末梢循環中への動員」に関して最も効率の良いプロトコールを模索していく。また動物を用いて、「ヘパリン→血漿中HGF濃度↑→MABの末梢循環中への動員」という図式が成り立つのかどうか検討し、動物で獲得できることが判明すれば、MABの出所の検討・非虚血性心筋症への効果を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の用途としては、細胞培養のための物品、獲得できた細胞のcharacterの確認のための物品、そしてラット購入費が中心になると予想される。
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