研究概要 |
様々な病気の発症に関与する慢性ストレスの形成過程について,SART ストレスマウスを用いて中枢神経系の機能変化を検討した。 慢性ストレス形成過程において視床下部の室傍核(PVN),背内側核(DMH)及び延髄の淡蒼縫線核(RPa)の神経活動が段階的に低下することが明らかとなった。また,慢性ストレスではPVN におけるCRF 作動性神経も神経活動が低下していることを認めた。さらに,抗不安薬ジアゼパムはこれらの変化を改善することが認められた。 PVN,DMH 及びRPa は自律神経系や内分泌系に関与することから,慢性ストレス形成過程では自律神経系や内分泌系を介した恒常性が破綻していることが示唆された。また,DMH は血圧調節に関与しており,SART ストレスによるDMH の神経活動低下は低血圧の一要因となりうることが考えられた。
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