研究概要 |
コンベンショナル環境下飼育の高脂肪食負荷マウスでは4週では脂肪肝は形成せず、16週間を要したが、腸肝軸におけるTLRの発現はreal time PCRの検討で乖離しており、その下流のエフェクター分子であるTNF, IL-1βの発現も乖離している事を確認した(肝組織では、TLR2, TLR4, TLR5, TLR9, TNF, IL-1βの発現が亢進し、腸管組織では低下していた)。さらにTLR signal のkey mediatorであるpIRAK1の発現もwestern blotにて肝では亢進、腸管では低下している事を確認した。この事は、肝組織においてはTLRシグナルが亢進し、腸管組織においてはTLRシグナルが低下している事を示唆している。 TLRシグナル乖離のメカニズム解析のために、まず脂肪酸負荷培養細胞の実験を行った。肝細胞モデルとしてHuh7、 Kupffer細胞モデルとしてTHP-1、腸管上皮モデルとしてCaco2にオレイン酸を添加しTLRの発現、TNF, IL-1βの発現をreal time PCR法で検討した。オレイン酸添加で、Huh7におけるTLR5, THP-1におけるTLR2, TLR4, TLR5の発現亢進とCaco2におけるTLR2, TLR5の発現低下を認めた。更にTNF, IL-1βも同様にTHP-1で亢進、Caco2で低下していた。またpIRAK1はwestern blotでTHP-1において亢進、Caco2において低下していた。これらの結果はin vitroと類似しており、脂肪酸が腸肝軸のTLRシグナルを変化・発現乖離させている事が示唆された。しかし、初代肝細胞へのオレイン酸添加ではTLRの発現亢進は認めなかった(研究目的(2))
|