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2011 年度 実施状況報告書

肝硬変で出現するL-シスチン・L-グルタミン酸不均衡が抗原提示細胞に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 23790762
研究機関東北大学

研究代表者

嘉数 英二  東北大学, 大学病院, 医員 (20509377)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードL-シスチン / L-グルタミン酸 / 非代償性肝硬変 / 単球 / アミノ酸不均衡
研究概要

肝がん発生の背景に肝硬変が大部分存在するが、これまで我々は肝硬変で出現するアミノ酸不均衡が免疫機構に与える影響について解析してきた。当該年度は、進行した肝硬変患者に出現するL-シスチン(L-Cys)/L-グルタミン酸(L-Glu)不均衡に注目し免疫細胞(単球)に与える影響を解析した。研究成果として、1.肝硬変患者132人の血漿アミノ酸分析結果から、Cild-Pugh grade B, Cでは有意なL-Cysの増加、L-Gluの低下を認めた。2.進行した肝硬変(C-P grade B+C : n=79)において20種類の遊離アミノ酸の中で唯一L-Cysが末梢血単球数に正の相関を認めた。3.肝硬変血漿中のTNF-αがL-Cysと有意な正の相関を認めた。in vitroにおいて我々が開発した非代償性肝硬変患者の血漿アミノ酸濃度に一致した無血清培地(Hepatology 2009)ACMを用いてL-Cys / L-GluのCD14+単球に与える影響を解析した。1.L-Cysは濃度依存性にLPS刺激に対する単球からのTNF-αの産生を増加させた。またIL-10, GM-CSFの産生もL-Cys添加により増加した。2.単球のL-Cys / L-Glu交換輸送体xCTのmRNA発現が、L-Cys添加ACMで増加した。3.LPS刺激時における単球、THP-1細胞内・外のアミノ酸濃度をHPLCで評価した。L-Cys添加ACMでは有意にLPS刺激2時間後における細胞内L-Cys, 細胞外L-Gluの増加を認めた。以上により、肝硬変で出現するL-Cys、L-Gluの不均衡はCD14+単球の機能・数にxCTを介して関与している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マウスを用いた実験計画は計画に遅れが生じているものの、それ以外は逆に平成24年度の計画にすでに着手している。

今後の研究の推進方策

マウスを用いた実験計画に遅れが生じているため、一部研究計画を変更し肝硬変での樹状細胞機能低下のメカニズム解析をin vitroでより深く行う。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額は、当初計画していたノックアウトマウスの実験を樹状細胞機能低下のメカニズム解析に変更したことにより生じたものであり、次年度以降に実施するメタボローム解析に必要な経費として、平成23年度請求額と合わせて使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Plasma L-Cystine / L-Glutamate imbalance increases tumor necrosis factor-alpha from CD14+ circulating monocytes in patients with advanced cirrhosis.2011

    • 著者名/発表者名
      Kakazu E, Ueno Y, Kondo Y, Inoue J, Ninomiya M, Kimura O, Wakui Y, Fukushima K, Tamai K, Shimosegawa T.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 6(8) ページ: e23402

    • DOI

      doi:10.1371

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 肝硬変に出現する血漿アミノ酸不均衡が免疫機構に与える影響について2011

    • 著者名/発表者名
      嘉数英二 上野義之 下瀬川徹
    • 雑誌名

      肝胆膵

      巻: 63(3) ページ: 375-382

  • [学会発表] 非代償性肝硬変に出現する血漿中L-Cystine / L-Glutamate不均衡は交換輸送体xCTを介してCD14+単球からの炎症性サイトカイン産生を増加させる。

    • 著者名/発表者名
      嘉数英二 上野義之 近藤泰輝 福島耕治 井上淳 二宮匡史 木村修  小原範之 涌井祐太 岩崎隆雄 下瀬川徹
    • 学会等名
      第47回日本肝臓学会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      平成23年6月3日
  • [学会発表] 非代償性肝硬変で出現するL-Cystine / L-Glutamic acid不均衡はLPS刺激時の単球からのTNF-α産生を高め、腎機能低下に関与する

    • 著者名/発表者名
      嘉数英二 上野義之 近藤泰輝 福島耕治 井上淳 二宮匡史 涌井祐太 岩崎隆雄 下瀬川徹
    • 学会等名
      第97回日本消化器病学会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      平成23年5月15日
  • [学会発表] Plasma L-Cystine / L-Glutamate imbalance increases tumor necrosis factor-alpha from circulating monocytes via system Xc- (4F2hc+xCT) in patients with advanced cirrhosis.

    • 著者名/発表者名
      EIJI KAKAZU, YOSHIYUKI UENO, YASUTERU KONDO, JUN INOUE, MASASHI NINOMIYA, OSAMU KIMURA, TOORU SHIMOSEGAWA
    • 学会等名
      The 62nd annual meeting of the american association for the study of liver disease (AASLD)
    • 発表場所
      米国 サンフランシスコ
    • 年月日
      平成23年11月4日
  • [学会発表] 非代償性肝硬変に出現する血漿L-Cystine / L-Glutamate不均衡はCD14+単球内の還元型グルタチオンを低下させ炎症性サイトカインを増加させる

    • 著者名/発表者名
      嘉数英二  上野義之 近藤泰輝 福島耕治 井上 淳 二宮匡史 木村 修 岩崎隆雄 下瀬川徹
    • 学会等名
      第19回日本消化器関連学会週間
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      平成23年10月20日

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公開日: 2013-07-10  

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