Rapid Genome Sequencing of RNA viruses (RDV法)にて、NOD.c3c4マウス、原発性胆汁性肝硬変(PBC)の患者血清から、未知のウイルス遺伝子を同定する前に、既知のC型肝炎ウイルスを血清から同定できるか試みたが、感度が低く、血清サンプルに用いるレベルには達しなかった。そのため、次世代シークエンサーを用いて、1.肝炎ウイルスの解析、2.PBC患者血清内のmicroRNAの発現プロファイルの解析から、病態解明にせまった。 【成績】期間全体をとおして、1. C型慢性肝炎患者の血清からTotal RNAを抽出し、遊離RNAを次世代シークエンサーにて解析。血清内遊離RNAの約0.1%のreadがHC Vゲノム由来であった。Coverageは99.8%、平均sequencing depthは69.5を示し、例えば、NS3領域では、アミノ酸塩基5カ 所のvariantsを認め、K213K/R (18 26%/52 74%)、G237G/S (41 46%/49 54%)、P264P/S/A (20 42%/19 40%/9 19%)、S297S/A (63 81%/1 5 19%)、A358A/T (20 21%/75 79%)であり、Quasispeciesであることを示した。 平成24年度は、2. PBC血清内の遊離microRNAを解析し、他のウイルス性肝炎と比較することで、ウイルス性疾患の可能性を模索した。結果として、191個のmicroRNAの発現量に有意差がつき、発現パターンをクラスタリングしてヒートマップを作成し、PBC群はCH-B、C、健常者群と明確にクラスターを異にした。さらに、解析をすすめ、miR-505-3pとmiR-197-3pは有意な発現量の低下が認められ、PBCの新たなるバイオマーカーになりうる可能性を示した。
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