肝臓で発現しているmicroRNA(miRNA)の大半を占めるmiR-122は、C型肝炎ウイルス(HCV)の複製やインターフェロンによる治療の応答性、発癌との関連性が報告されている。当研究では、その発現調節につき検討を行った。はじめに種々の肝癌細胞株を用いて、miR-122の発現量とその初期転写産物であるpri-miR-122の発現量を比較検討した。その結果、miR-122とpri-miR-122の発現量には正の相関が認められ、pri-miR-122の発現量はmiR-122の発現量を規定する重要な因子であると考えられた。次に、pri-miR-122のpromoter領域を種々の長さでreporterplasmidにクローニングしてreporterassayを行い、pri-miR-122の転写に重要な領域を同定した。次にDNAメチル化に代表されるエピジェネティックな制御を受けている可能性を考え、同定したpri-miR-122のpromoter領域のDNAメチル化状態を検討した。その結果、pri-miR-122の発現量が豊富な細胞株ではDNAメチル化が乏しいのに対し、発現量が低い細胞株ではほぼ完全にメチル化されていることが判明した。さらに5-aza-CdRを用いた脱メチル化処理により、pri-miR-122の発現量が低い細胞株において発現量の増加を認めた。以上より、pri-miR-122の発現制御機構には、DNAメチル化に代表されるエピジェネティックな制御が深く関与していることが示唆された。
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