研究課題/領域番号 |
23790779
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高村 昌昭 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (20422602)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | LI-カドヘリン / 肝内胆管癌 / BilIN |
研究概要 |
LI-カドヘリンは古典的カドヘリンと構造的・機能的にも異なった特徴を有するユニークなカドヘリンである。本研究では肝内胆管癌発癌過程におけるLI-カドヘリンの役割を解析し、早期診断マーカーへの応用を目指すことを目的とした。1.Biliary intraepithelial neoplasia (BilIN) 分類別のLI-カドヘリンおよび関連分子の発現解析BilIN は肝内胆管癌の前癌病変の一つとして考えられており、その異型度により BilIN-1 (low grade)、BilIN-2 (intermediate grade)、BilIN-3 (high grade) に分類されている。対象は肝内結石症非合併肝内胆管癌16症例で、168病変の肝内胆管異型上皮 (reactive change 42病変、BilIN-1 10病変、BilIN-2 40病変、BilIN-3 76病変) が認められた。LI-カドヘリンおよびその発現を制御するCDX2を免疫染色法で解析した。LI-カドヘリンは26.8%(45/168)に発現を認めた。低異型度病変(reactive/BilIN-1)(1/52=0.02%)に比し高異型度病変(BilIN-2/BilIN-3)(44/116=37.9%)において発現が多くみられ、BilIN分類はLI-カドヘリン発現と独立して相関することが明らかになった。LI-カドヘリンが肝内胆管癌の発生・進展に関与する分子の一つである可能性が示唆された。一方、LI-カドヘリン陽性45病変におけるCDX2発現陽性病変は26.7%(12/45)であった。2.シェディングによる LI-カドヘリン切断部位の同定とLI-カドヘリンモノクローナル抗体の作製準備免疫沈降法にて解析に耐えうる切断断片濃縮を試みている。また複数の細胞外ドメイン部分のペプチドを作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BilIN 分類別のLI-カドヘリンおよび関連分子の発現解析は少数例での解析であったが、論文として報告した。最近 CDX2 以外の LI-カドヘリン発現制御分子も報告されており、次年度以降に予定している血清を用いた LI-カドヘリン測定に備え、引き続き症例の蓄積を行っている。LI-カドヘリン高発現培養細胞株を用いた、シェディングによる LI-カドヘリン切断部位の同定については、N 末端アミノ酸配列解析に耐えうるサンプルを濃縮するための免疫沈降法の条件検討を行っており、次年度も解析を継続することとした。ELISA に使用する LI-カドヘリンモノクローナル抗体作製の準備については、複数のペプチド作製を行った。研究計画では、切断部位の同定を行ってからの予定であったが、切断断片の分子量から切断部位は細胞膜貫通ドメイン近傍の細胞外ドメインであることが考えられたため、同部位より明らかに離れた細胞外ドメイン部分のペプチドとした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度に予定していた計画(肝内胆管癌症例の手術材料および血清の集積、ELISA に使用する LI-カドヘリンモノクローナル抗体の作製)を行うことに加え、前年度に終了する予定であったN 末端アミノ酸配列解析による LI-カドヘリン切断部位の同定を引き続き行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
N 末端アミノ酸配列解析に使用する試薬およびサンプル作製のための試薬は前年度に十分量購入している。次年度の研究費はモノクローナル抗体の作製のためのマウス購入や作製したハイブリドーマ維持のためには大量の細胞培養関連試薬が必要となるのでその購入に使用する予定である。
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