研究課題/領域番号 |
23790779
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高村 昌昭 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (20422602)
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キーワード | LI-カドヘリン / 肝内胆管癌 / BilIN |
研究概要 |
LI-カドヘリンは古典的カドヘリンと構造的・機能的にも異なった特徴を有するユニークなカドヘリンである。本研究では肝内胆管癌発癌過程における LI-カドヘリンの役割を解析し、LI-カドヘリンの早期診断マーカーとしての応用を目指すことを目的とした。 1.LI-カドヘリン高発現培養細胞株を用いた、シェディングによる LI-カドヘリン切断部位の同定 シェディング誘導剤である TPA 添加後の培養細胞を溶解し、細胞内領域をエピトープとするLI-カドヘリン抗体で免疫沈降を行った。目的のバンドをサンプルとしてエドマン分解法で N末端アミノ酸配列解析を行ったが解析不可能であったため、脱アセチル化等のデブロッキング処理を行ったが同様の結果であった。今後 MALDI-TOF-MS を用いた N末端アミノ酸配列解析を検討している。 2.LI-カドヘリン切断断片を検出するためのマウスモノクローナル抗体の作製 前年度に作製した細胞外ドメイン部分のペプチドを用いてマウスに免疫を試みたが、免疫原に対して行った ELISA による一次スクリーニングにおいて十分な抗体価が得られなかったため、再免疫を試みたが十分な抗体価が得られなかった。そこで上記のペプチドを用いてウサギポリクローナル抗体の作製に変更し、複数のウサギポリクローナル抗体を作製した。作製したウサギポリクローナル抗体に市販の抗体を含めたサンドイッチ ELISA の条件検討を進めている。また肝内胆管癌症例血清および臨床病理学的データや治療経過の集積を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LI-カドヘリン切断断片を検出するための ELISA の構築に向けて、マウスモノクローナル抗体は得られなかったが、ウサギポリクローナル抗体を複数得ることができた。最近では市販の抗体にも優れたものが出ており、それらの抗体を含めて次年度に予定していた ELISA の条件検討を前倒しで進めている。また次年度に予定している血清を用いた LI-カドヘリン測定に備え、引き続き症例の集積を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度に予定している計画(肝内胆管癌症例の手術材料および血清の集積、LI-カドヘリン切断断片を検出するための ELISA の構築と測定の臨床的意義の検討)を行うことに加えて、引き続きシェディングによる LI-カドヘリン切断部位の同定を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
LI-カドヘリン切断部位の同定において、MALDI-TOF-MS を用いた N末端アミノ酸配列解析を行うための試薬の購入および ELISA 構築を行うための試薬の購入に使用する予定である。
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