研究課題
抗腫瘍免疫を向上させる目的で、C型慢性肝疾患患者由来DCの細胞免疫学的特徴を解明し、種々の刺激誘導法の有用性について検討してきた。肝癌患者由来の未刺激DCでは、非感染者と比較し、生細胞率は低下していたが、DCサブセットにおけるCD11c陽性のミエロイドDCの割合、成熟度を示すCD83およびCD86の発現、遊走能に関与するCCR7の発現は増加(p<0.05)、FITC標識されたデキストランを用いた貪食能も高い傾向にあった。肝癌患者由来DCのOK-432添加群では、他群と比較し、CCR7の発現、Th1タイプのサイトカイン産生(IL-12、IFNγ、TNFα、RANTES、IL-1β、VEGF)、リンパ球刺激能が増加していた(p<0.01)。OK-432添加刺激は抗原提示能、免疫賦活作用を著明に向上させたことから,C型関連肝癌患者に適する樹状細胞調整法が示され新たな免疫治療の開発に寄与する可能性があり,この刺激誘導培養法を用いた樹状細胞をラジオ波焼灼療法施行時に経皮的にがん組織へ注入する安全性臨床試験を開始した.16例のRFAを施行したC型関連肝癌患者に対して,この誘導培養法を用いた樹状細胞を経皮的にがん組織へ注入する安全性臨床試験を行った.有害事象としてgrade2以下の発熱を75%に認めたがRFA自体に伴う副作用であり,重篤な有害事象は認めなかった.以前に当院でRFAを施行した初発肝細胞癌症例と比較し,OK-432添加刺激を加えたDC併用RFA初発肝細胞癌治療症例は,有意に無再発生存期間が延長(p=0.047)した.またOK-432添加刺激を加えずに誘導したDC併用治療群14例と比較したところ,OK-432添加刺激を加えたDC併用治療群は有意に無再発生存期間が延長(p=0.019)することが明らかになった.
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