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2011 年度 実施状況報告書

大腸癌患者の血清DKK4測定によるWntシグナル亢進の評価とその意義

研究課題

研究課題/領域番号 23790785
研究機関山梨大学

研究代表者

山口 達也  山梨大学, 医学工学総合研究部, 医学研究員 (30397301)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードDkk4 / Wntシグナル / 大腸癌 / βカテニン / 腫瘍マーカー
研究概要

我々は大腸癌の発癌メカニズムを明らかにするため、臨床症例の大腸癌部と非癌部の組織より抽出したmRNAを用い、大腸癌で特異的に高発現する遺伝子としてWntシグナル制御分子である遺伝子Dkk4(Dickkopf 4)を見出し、これに着目して研究を開始した。進行大腸癌、早期大腸癌、腺腫の腫瘍部・非腫瘍部の臨床生検検体についてReal Time PCR、免疫染色を施行しDkk4の発現量を調べ、腫瘍部ではDkk4が著明に高発現しており、悪性化に伴い発現が増加していることを確認した。我々はDkk4がWntシグナルにより制御されていることを報告(Matsui A, Yamaguchi et al. Cancer Sci 2009)しているが、腫瘍内におけるWntシグナルの状態を評価するためにβカテニンの発現についても免疫染色を行い検討した。これらのデータを患者の臨床背景と照らし合わせて臨床意義を検討した。さらに採取した血清中のDkk4蛋白の濃度を測定し、腫瘍内のDkk4発現と血清Dkk4蛋白濃度の関連について検討する予定である。血液検査で腫瘍内のDkk4の発現の状態が評価できれば、新たな腫瘍マーカーとして利用ができると考えられる。また、我々のデータではDkk4高発現患者は予後不良である傾向を認めており、予後予測因子としての可能性も検討していく予定である。最近、Dkk4と大腸癌の化学療法抵抗性との関連も報告されており(Matthias P.A. et al. N Engl J Med 2012)、Dkk4と大腸癌の発癌や悪性度について新たな知見が得られると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在、臨床検体・データの収集とDkk4、βカテニンの発現量の検討を並行して行っている。現時点ではデータの量が少なく、達成度を低く評価したが、今後データが集まり臨床背景と合わせて大腸癌患者のDkk4発現とWntシグナル亢進の意義について結果が出ると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後は臨床検体・データの収集を進めつつ、安定・簡便なDkk4血中濃度の測定方法を検討する。これを用いてDkk4が新たな腫瘍マーカーや予後予測因子としての利用できないかを検討する。 また、我々はDkk4を既存の腫瘍マーカーと異なる、発癌メカニズムにかかわるWntシグナル伝達をモニターする蛋白として有用であると考えており、臨床利用のみならず発癌や発生の解明にも利用できないかを検討する。

次年度の研究費の使用計画

次年度は免疫染色やELISAに関連する蛋白や抗体、PCRやシークエンスに使用する試薬、消耗品の購入が研究費の主体となる。

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公開日: 2013-07-10  

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