研究概要 |
腸管上皮細胞と間葉系細胞との相互作用(epithelial-mesenchymal interaction)は腸管上皮細胞の分化・増殖に大変重要な因子であり、我々はWntシグナルに注目し研究を行っている。laser capture microdissectionとreal time PCRを組み合わせることによりWnt2とWnt4が筋線維芽細胞から陰窩底部の間葉系細胞である筋線維芽細胞からWnt2が強く発現し、cryptの軸に沿って発現強度が異なることを既に見いだしている。特にWnt2は陰窩底部に強く発現しているのに対しWnt4は管腔内腔側の筋線維芽細胞に強く発現している。 以上の結果を踏まえて昨年度はWnt2やWnt4の全長をクローニング。リポフェクション法を用い我々が樹立したGFPマウス由来の小腸筋線維芽細胞株に移入し、強制発現株を作成した。今年度はin vitroではSatoらの報告(Sato T et al. Nature 2009 14:262)に従い、腸管上皮細胞をマトリジェル内で三次元培養を行った。次に筋線維芽細胞との共培養にあたり、添加する三種類の成長因子(wnt3, R-spondin 1, noggin)のうちwnt3とnogginを除いた状態での培養でもcrypt-villus structureが形成されることを確認した。今後、Wnt2やWnt4強制発現株を用いることにより腸管上皮細胞の分化・増殖に与える影響を検討する予定である。
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