研究課題/領域番号 |
23790797
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
三木 梨可 熊本大学, 発生医学研究所, COEリサーチアソシエイト (30516133)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 膵再生 / 幹細胞 / 膵炎 / 糖尿病 |
研究概要 |
膵臓は成体において膵部分切除あるいはStreptozotocin(STZ)投与による膵島障害やセルレイン投与による膵炎誘発モデルにおいて膵再生が観察されている。この成体膵における膵再生が、1. 膵幹細胞に由来する。2. 膵の体性幹細胞は存在せず、β細胞や外分泌細胞自身の増殖により再生している。という二つの可能性が示唆されているが、膵幹細胞マーカーが同定されていないことから見解が分かれている。これまでに我々の研究室において、Epiplakin1(Eppk1)が、膵幹細胞マーカー候補遺伝子である可能性が推測された。Eppk1が成体の膵幹細胞の指標となる可能性および障害後の再生過程においてEppk1が発現した細胞から外分泌細胞や内分泌細胞などへ分化する可能性について検証をおこなうためにEppk1-CreERマウスを作出した。Eppk1-CreERマウスとZ/EGレポーターマウスを交配し、Eppk1-CreER;Z/EGマウスを作出した。Eppk1-CreER;Z/EGマウスにタモキシフェンを投与した結果、通常状態ではGFP陽性細胞がEppk1発現細胞の膵管細胞、α細胞、腺房中心細胞のみで観察された。膵再生過程においてEppk1発現細胞から外分泌細胞への分化転換が生じているか明らかにするためにEppk1-CreER;Z/EGマウスにセルレイン投与をおこない膵炎を誘発した。セルレイン投与7日目においてGFP陽性Amylase陽性細胞が観察された。このことからセルレイン誘導膵炎モデルにおいてEppk1発現細胞が幹細胞でありEppk1発現細胞から膵外分泌細胞への分化転換により再生している可能性が推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞運命追跡実験に必要なEppk1-CreERマウスが樹立できた為。
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今後の研究の推進方策 |
STZ投与によるI型糖尿病モデルにおいてのEppk1発現細胞の細胞運命追跡実験をおこなう。再生過程で一過的に増加するEppk1発現細胞をGFPラベルし、血糖値の推移を継続的に観察する。血糖値が正常範囲まで回復し再生した段階で、GFP陽性細胞がEppk1発現細胞のみであるのかインスリン陽性細胞で観察し、I型糖尿病モデルにおけるEppk1発現細胞の役割について明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
I型糖尿病誘導の為のSTZや免疫組織科学的解析に使用する抗体、遺伝子改変マウスの系統維持や繁殖に係る経費に使用する。
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