研究課題
今年度は、未だIL28BSNPと治療効果との間の関連にコンセンサスが得られていないgenotype2症例に着目し、自施設においてペグインターフェロン・リバビリン併用療法を行った計101例についてIL28B SNPを測定し、それ以外の臨床的パラメーターについても集計を行った。その結果、IL28B SNP(rs8099917)はメジャーホモが77例、ヘテロが24例であった。genotypeは2aが65例、2bが36例であった。SVRに寄与する因子として、単変量解析にてRVRの有無、IL28B SNPが有意な因子として抽出され、多変量解析でもRVRの有無(オッズ比8.598)、IL28B SNP(オッズ比6.491)が有意な因子として抽出された。genotype別の解析では、単変量解析においてgenotype 2aのみでIL28B SNPが有意なSVR予測因子として抽出された。また、RVRの有無とIL28B SNPの間でSVRに及ぼす影響の違いを探るべく、再燃の有無との関係を検討した結果、IL28B SNPのみが単変量解析で有意に再燃の有無に相関することが明らかになった(p=0.017)。以上の結果はHepatology Research誌に投稿し、アクセプトされた。また、新治療薬Telaprevirが発売され、治療導入症例が増加したため、これらの症例について、新たに副作用の貧血との関連が最近報告されたITPA SNPについても解析を行い、特に治療開始12週までのHb低下についてCA群に比較し有意にCC群の方が変化が大きいことを見出し、第59回日本臨床検査医学会学術集会などで報告した。
2: おおむね順調に進展している
genotype2のC型肝炎症例におけるIL28B SNP測定の意義を見出し、研究成果が欧文雑誌に受理されたため。
Telaprevir導入症例についてはITPA SNPの解析も引き続き追加していき、それぞれの患者の治療効果(RVR、EVR、ETR、SVR)、IL28B SNP genotype (メジャーvs マイナーヘテロ or マイナーホモ)、HCVコア変異(AA70、AA91)、年齢、性別、肝線維化スコア(F0-4)などを集計し、SPSSを用いて、単変量解析ならびに多変量解析を行うことにより、各因子と治療効果との間に有意な相関が認められるかを検討する。これらにより集積した症例については、治療前肝組織中のインターフェロンλ受容体mRNA量をreal-time PCR法によって測定する。さらに、インターフェロンα受容体やインターフェロンで誘導される遺伝子群(interferon-stimulated genes:ISGs)についても同様の測定を検討する。
上述の通り、本年度はSNP解析を数多く行ったため、その対象検体となる核酸抽出と濃度測定のために、核酸濃度測定器(NanoDrop Lite)の購入が必要となり、前倒し申請を行う必要が生じた。次年度についても、今年度同様、研究実施に伴う消耗品、各種学会・論文発表に伴う旅費・印刷代・校正費用になどにも予定通り出費が予想される。
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巻: - ページ: -
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