研究課題/領域番号 |
23790803
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
内藤 格 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30527750)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 自己免疫性膵炎 / IgG4 / 生検 |
研究概要 |
今年度は自己免疫性膵炎と診断された患者から生検にて得られた組織標本でHE染色およびIgG4染色にて(1)炎症細胞浸潤、(2)線維化、(3)IgG4陽性の形質細胞数につき病理学的検討を行っている。生検組織としては膵臓、胆管、肝臓、胃、十二指腸、十二指腸乳頭、大腸を検討している。強拡大1視野あたりのIgG4陽性形質細胞数の3視野平均数を算出し、生検全体での臓器間の比較、また多臓器で生検検体がある同一患者の中で臓器間での診断能の比較検討を行っている。 IgG4陽性の形質細胞を1高視野あたり、10個以上認めた場合を陽性と定義すると、各臓器における生検組織からの診断能は20%から50%程度と十分ではない。そのなかで、十二指腸乳頭からの生検組織におけるIgG4陽性形質細胞数が多い傾向を示している。 しかしながら、IgG4形質細胞数に関しては同一臓器でも患者間でのばらつきが多いため、IgG4形質細胞数と他の関連因子についても合わせて検討を行っている。また今までの検討からの問題点としては、症例により、IgG4染色にばらつきがあり、他の炎症により、IgG4染色細胞数が影響も受けている可能性も考えられるため、他の免疫染色も追加し、検討を行う必要があると考えている。比較対象に対してもこれらの免疫染色を追加し、自己免疫性膵炎患者検体との比較および、比較対象のどのような症例でIgG4陽性細胞数が増加し、生検における偽陽性が起こり得るかについても追加検討を行う予定としている。そして、血中のIgG4値と組織中のIgG4陽性細胞数の比較を行い、両者の相関関係や血中IgG4陰性の症例での組織中のIgG4陽性細胞数の検討を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自己免疫性膵炎患者の生検組織のIgG4染色を終え、現在データ集計し、統計学的検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、IgG4染色以外の他の免疫染色(IgG、CD138、Foxp3 etc)を行い、自己免疫性患者と対象との間で比較検討を行い、両者の鑑別に有用な項目を明らかにすることを目標とする。 また近年発表された自己免疫性膵炎診断基準2011では膵外病変がa)臨床的病変、b)病理学的病変として取り入れられており、自己免疫性膵炎診断における膵外病変の存在は重要になりつつある。しかしながら、生検組織による診断基準は明らかとなっておらず、今後、今回の研究内容から膵外病変生検の診断基準のようなものを作成していきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
IgG4染色以外の他の免疫染色(IgG、CD138、Foxp3 etc)を行うために研究費を使用する予定である。
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