研究概要 |
対象として膵臓癌細胞株および病理組織学的に膵臓癌と診断された患者腹水中の腫瘍細胞を用いて染色体標本を作製し、SKY (spectral karyotyping) 法で網羅的に染色体転座を解析しkaryotypeを決定した。 腫瘍細胞より抽出したgenomic DNAを高密度オリゴヌクレオチドアレイ(Affymetrix, Human mapping 250K array)を用いてゲノムコピー数を解析しSKY法のデータと比較し特異的染色体転座における切断点の詳細な同定および相手候補遺伝子の同定を行った。NRG1遺伝子内およびその近傍に染色体転座点の詳細な解析は行うことに成功した。一方候補遺伝子の同定はしえなかった。FISH法を用いてNRG1遺伝子内での切断を確認した。 転座関連候補遺伝子の検索をcDNAバブルPCR法を用いて相手遺伝子の探索を行った。特にこれまでの解析によりFISH法にてNRG1遺伝子のスプリットを確認した細胞株について、詳細な解析を行う。このうちt(8;17)(p11.2;q23),t(8;18)(p23;q12)を有した細胞株Aとt(7;8)(q11.2;p11.2) i(8q)を有した細胞株Bについて、これまでの解析で細胞株Aではエクソン1の近傍に、一方、細胞株Bでの切断点は、エクソン9から17の間に切断点が存在すると考えていたが最終的に同定にはいたらず現在検索を続けている。
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