研究課題/領域番号 |
23790818
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
佐伯 千里 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (60580024)
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キーワード | 自己免疫性肝炎 / オートファジー |
研究概要 |
@AIHモデルの脾臓内LNSCの免疫学的性状の解析 脾臓からcollagenase、DNase含有培養液を用い単核球を分離、CD45抗体を用いたnegative selectionによりLNSC分画を得たのちにFACSセルソーターによりgp38+・CD31-のfibroblastic reticular cell(FRC)、gp38+・CD31+のlymphatic endotherial cell(LEC)、gp38-・CD31+のblood endotherial cell(BEC)のLNSCサブセットを分離した。この各サブセットにおける抗原提示に関わるMHCクラスII、PD-L1の発現、オートファジー誘導刺激を感知するTLRs発現をFACSにて検討したところ、FRCではMHCクラスII、PD-L1発現の増強がみられ、またTLR1、5、7の発現増強もみられた。またLECでも同様の傾向が見られたが、BECではそのような傾向はみられず、MHCクラスII、PD-L1、TLR発現はいずれも増強していなかった。 @AIHモデルの脾臓内LNSCのオートファジー動態の解析 脾内LNSCのオートファジー動態を、電子顕微鏡を用い、オートファジーが生じた細胞内で特徴的に認められる二重膜構造体オートファゴソームを指標にして検討したところ、ごくわずかの細胞でオートファジーがみられた。オートファジーで出現する隔離膜、オートファゴソーム内膜に特異的に結合するユビキチン類似タンパクLC3に対するモノクローナル抗体を用いた免疫電顕法により検討でも同様の傾向が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は当初の予定では、脾臓ストローマ細胞のオートファジーによる自己抗原提示の寛容誘導への関与の検討を行うはずであったが、AIHモデルの脾臓内LNSCのオートファジー動態の解析における免疫電顕による検討の実験条件設定に予想していた以上の時間がかかったために、当初の予定が終了できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
遂行できなかった課題である脾臓ストローマ細胞のオートファジーによる自己抗原提示の寛容誘導への関与の検討をまず行う。ついでインフラマソームが抗原提示性ストローマ細胞のオートファジーに及ぼす影響の検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
インフラマソームが抗原提示性ストローマ細胞のオートファジーに及ぼす影響 §Caspase1 KOマウスを用いたAIHモデルにおける再燃へのインフラマソームの関与の検討:C57BL/6系Caspase 1 KOマウス(University of Zurich Dr. GrimmNCIより供与)でAIHモデルを作製、改善期にIL-12投与時の肝炎再燃を検討しインフラマソームの関与を明らかにする。 §AIHモデルでインフラマソーム活性化時のLNSCのオートファジー動態の解析:AIHモデルの改善期に、AIM-2 Inflammasomeを活性化するdsDNA、Nalp-3 Inflammasomeを活性化するLPS、lpaf Inflammasomeを活性化するFlagellinを投与し、各刺激による肝炎の再燃を組織学的に評価するとともに、脾臓内のLNSCのオートファジー動態を電子顕微鏡による形態学的検討、LC3をマーカーに用いた免疫電子顕微鏡による検討により解析する。 §インフラマソーム活性化時のLNSCのメモリー型自己反応性T細胞活性化抑制の解析:インフラマソーム活性化剤を投与したマウスの脾臓からLNSCを分離し、in vitroで肝細胞反応性メモリー型T細胞、DCと混合培養した際のT細胞増殖能を3H-Thymidine法にて測定し、LNSCの自己反応性T細胞活性化抑制能を解析する。
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