研究課題/領域番号 |
23790820
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
松本 和子 近畿大学, 医学部, 助教 (00548456)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | がん幹細胞 / CD133 / FGFRシグナル / 胃癌 / iPS遺伝子 |
研究概要 |
1年目の本年度は、FGFRシグナルによる胃癌細胞のCD133の発現制御について検討を行った。胃癌細胞株にFGFRチロシンキナーゼ阻害薬を作用させCD133の発現変化を検討したところ、FGFR2増幅胃癌細胞株は薬剤暴露によりCD133の発現が著明に亢進した。FGFRチロシンキナーゼ阻害薬は、FGFR2増幅胃癌細胞に対して用量および時間依存的にCD133の発現をmRNAレベル、タンパクレベルで亢進させることを明らかにした。さらにFGFRの下流シグナルがCD133の発現に及ぼす影響ついて検討を行った。PI3K阻害薬ではCD133の発現変化を認めなかったが、MEK阻害薬はCD133の発現を亢進させた。JNK阻害薬、p38MAPK阻害薬はCD133の発現を変化させなかった。これらの結果より、FGFR2増幅胃癌細胞株において、CD133の発現はFGFR‐MEKシグナルにより制御されていると考えられた。次にFGFR‐MEKシグナルの下流転写因子のCD133発現制御について検討した。FGFRチロシンキナーゼ阻害薬およびMEK阻害薬はともにCD133の発現を亢進させると同時に転写因子であるFOS、FOSL1分子のmRNA発現を低下させ、c-Jun分子のmRNA発現を亢進させていた。それぞれの分子の転写活性を測定したところ、mRNAの発現と相関する結果が得られた。研究は胃癌細胞のがん幹細胞マーカーの発現機構の解明およびがん幹細胞形質に対する作用の解明に向けて予定通り順調に進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、胃癌細胞株におけるCD133の発現制御機構について下流シグナル分子の検討を行い、来年度のがん幹細胞形質に対する作用の解明に向けて順調の進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度からの2年で、(1)FGFRシグナルによる胃癌細胞のがん幹細胞形質に対する作用の解明 (2) CD133の発現変化を指標とした小分子化合物のスクリーニングを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度と同じように基礎実験に伴う消耗品に対して使用を計画している。
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